虚血再灌流後の運動時間の違いが筋収縮力に与える影響

DOI
  • 相原 一貴
    県立広島大学大学院総合学術研究科
  • 小野 武也
    県立広島大学大学院総合学術研究科 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 石倉 英樹
    広島都市学園大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 佐藤 勇太
    県立広島大学大学院総合学術研究科
  • 松本 智博
    神戸学院大学大学院
  • 田坂 厚志
    大阪保健医療大学保健福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
  • 積山 和加子
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 梅井 凡子
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 沖 貞明
    県立広島大学大学院総合学術研究科 県立広島大学保健福祉学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • ラットを用いた実験的研究

抄録

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>整形外科的手術で出血量抑制のために使用されるターニケットは,虚血再灌流障害を引き起こし骨格筋の浮腫や炎症,萎縮を発生させる可能性が報告されている。我々は先の動物実験において,圧力300mmHgで90分間ターニケットを使用すると,虚血再灌流後に筋収縮力の低下が生じ,その低下は7日目まで完全回復しないことを明らかにした。リハビリテーションの臨床において,筋機能の回復を促すために運動療法を実施する。しかし,虚血再灌流後の運動が筋収縮力に与える影響に関しては不明である。そこで本研究の目的は,虚血再灌流後の運動時間の違いが筋収縮力に与える影響を明らかにすることである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>10週齢Wistar系雄ラット24匹を6匹ずつ,対照群(C群),虚血再灌流群(IR群),運動20分群(EX20群),運動60分群(EX60群)に分けた。まずIR群,EX20群,EX60群は,麻酔下で左後肢にターニケットカフを巻き,圧力300mmHgで90分間の駆血を実施した。EX20群とEX60群は駆血終了後翌日より7日目まで20分または60分間のトレットミル運動を1日1回実施した。トレッドミル運動の設定は傾斜10°,速度10 m/minとした。筋収縮力の測定は,ヒラメ筋を摘出し95%酸素および5%二酸化炭素の混合ガスを常時通気しているリンゲル液で満たしたオーガンバス内へ入れ,電気刺激を加え測定した。その後ヒラメ筋は凍結させHE染色し筋横断面短径を測定した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>ヒラメ筋収縮力の測定結果はC群104.5±15.8g,IR群76.1±13.3g,EX20群66.8±15.4g,EX60群55.0±9.7gであった。C群に比較し他の3群は有意な低下が認められ,さらにIR群よりも有意にEX60群が低下していた。筋横断面短径の測定結果は,C群54.6±3.1μm,IR群49.6±2.9μm,EX20群50.1±5.0μm,EX60群42.2±3.0μmであった。EX60群は他の3群に比較し有意に筋横断面短径が低値であった(p<0.05)。</p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>筋収縮力は,筋横断面積と比例関係にある。また,損傷筋に対する強度の運動は,炎症や筋萎縮を惹起することが報告されている。本研究結果は,EX20群の筋収縮力はIR群との差はないが,EX60群の筋収縮力はIR群よりも低下しており,さらに筋横断面短径も他の3群に比較し低値を示した。この結果より,60分間のトレッドミル運動は負荷が過度となっている可能性があり,一方で20分間のトレッドミル運動は,日常生活内での運動以上の負荷にならない可能性が推測できる。これらのことから,虚血再灌流後の運動は長く行えば良い効果が得られるのではなく,負荷量を考慮し運動を実施する必要性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205578489984
  • NII論文ID
    130005608418
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.0409
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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