臨床実習における自宅学習課題の実施時間および主観的難易度が心理的ストレス反応に及ぼす影響について

  • 鈴木 学
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科
  • 細木 一成
    千葉柏リハビリテーション学院理学療法学科
  • 北村 達夫
    千葉柏リハビリテーション学院理学療法学科
  • 浅田 春美
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科
  • 加藤 仁志
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科
  • 橋口 優
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科
  • 鳥海 亮
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科
  • 中 徹
    群馬パース大学保健科学部理学療法学科

説明

<p>【はじめに,目的】理学療法士養成校の臨床実習の遂行には実習中の家庭学習が必要とされるが,学生には大きなストレスとなり,実習継続に支障をきたすことがある。先行研究では臨床実習の課題量と負担についての報告はあるが,課題の学習時間,難易度,ストレス反応との関連について詳細に報告されたものはきわめて少ない。研究者らは第51回日本理学療法学術大会で課題学習時間,課題自覚的負担度,およびストレス反応との関係について報告したが,課題学習時間,学習難易度がストレス反応に及ぼす影響について検討しなかった。</p><p></p><p>本研究の目的は実習経過中に学生が実施した学習課題の実施時間と主観的難易度が心理的ストレス反応に及ぼす影響について検討し,教員の円滑な実習指導のための一助とした。</p><p></p><p>【方法】対象は理学療法士2養成校4年生で8週間の臨床実習IIを終了した58名(男性36名,女性22名),年齢21.5±0.8歳とした。調査目的を説明し,実習経過中に自宅で実施した学習課題の遂行状況およびSRS-18(Stress Response Scale-18=心理的ストレス反応測定尺度)による実習期間中のストレス反応を調査した。学習課題は症例レポート作成,レジュメ作成,デイリーノート(以下,デイリー)作成,実習指導者等の質問事項,担当症例の自宅学習で,1日平均学習時間(分)を自由記載,課題の主観的難易度を4段階評価(4点=大~1点=小)での記載とした。SRS-18は18項目の質問からなり,実習期間中の心理状態を回想して4段階評価(3点(肯定)~0点(否定)し,3タイプのストレス反応(抑うつ・不安,不機嫌・怒り,無気力)の程度を算出,それらの合計点数を総合的ストレスの得点とした(MAX=54点)。</p><p></p><p>統計処理は学習課題実施時間および難易度を説明変数,ストレス反応を目的変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を実施し,因果関係について検討した。統計ソフトはSPSS statistictis23を使用し,有意確率は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】自宅での学習課題実施時間は47.93~149.48分,主観的難易度は2.21~3.19点の範囲,3タイプのストレスは6.37~8.08の範囲で「総合ストレス」は22.18±13.84点であった。</p><p></p><p>学習時間および主観的難易度のストレス反応への影響は「抑うつ・不安」にはデイリー作成時間,症例レポート難易度の順,「不機嫌・怒り」にはデイリー作成時間,「無気力」には症例レポート難易度,デイリー作成時間の順,そして総合的ストレスにはデイリー作成時間,症例レポート難易度の順に有意に影響がみられた(p<0.05)。</p><p></p><p>【結論】症例レポートでは難易度が,デイリーでは作成時間がストレスの増減に最も影響を及ぼしていることが明らかになった。特に学生の意欲を低下させる「無気力」に症例レポート難易度やデイリー作成時間の影響がみられ,臨床実習の遂行に問題となることが予想された。そのため学生の反応に注意してこれらの課題の質や量を調節していく必要がある。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2016 (0), 1730-, 2017

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205579287296
  • NII論文ID
    130005609731
  • DOI
    10.14900/cjpt.2016.1730
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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