理学療法士・作業療法士養成校学生の進路希望

DOI
  • 太田 恵
    千葉県立保健医療大学 健康科学部 リハビリテーション学科

書誌事項

タイトル別名
  • 臨床実習の経験有無による横断的研究

抄録

【はじめに,目的】近年,卒後に医療従事者として仕事をするためのモチベーションやビジョンがない学生が増えているように感じる。またそれが臨床実習を契機に顕在化する事例が多く見受けられる。そこで我々(リハビリテーション教育研究,2015)は,理学療法士・作業療法士養成校の臨床経験未経験学生を対象に進路希望について調査した。その結果,高齢者・障害者施設,さらに行政や企業といった医療施設以外への就職を希望している学生が含まれていることが明らかになった。今回は臨床実習の経験の有無によって進路希望に差異があるのかを明らかにし,卒前教育に生かしたいと考え,臨床経験未経験学生と経験済学生を対象とし横断的研究を行った。【方法】対象者は理学療法士・作業療法士養成校の学生とした。アンケートは無記名の自記式質問票を用いた。基礎情報についての項目は,年齢・性別・社会人経験の有無・最終学歴とした。進路希望については,養成校卒業後の最初の進路として,まず就職か進学,次に就職先または進学先について選択式で回答させた。いずれも複数回答可能とした。【結果】臨床経験未経験学生1188名(19校,男性715名・女性473名,平均年齢19.2歳,社会人未経験89.1%,最終学歴高卒90.1%),臨床実習経験済学生481名(8校,男性259名・女性222名,平均年齢22.0歳,社会人未経験91.2%,最終学歴高卒92.5%)から協力を得た。まず臨床経験未経験学生では,希望する進路は就職98.7%,進学2.9%であった。希望する就職先は,病院89.8%,クリニック37.5%,高齢者施設17.4%,障害者施設9.8%,行政機関3.1%,企業4.5%,教育機関5.1%,その他・無回答3.3%であった。進学希望者は全体の3.0%であり,そのうち希望する進学先は大学院が過半数を超えた。その他の具体的な回答としてはスポーツに関わる内容が大多数を占めた。次に実習経験済学生では,希望する進路は就職98.3%,進学3.3%,その他無回答0.6%であった。希望する就職先は,病院90.9%,クリニック22.2%,高齢者施設22.7%,障害者施設8.7%,行政機関2.1%,企業2.9%,教育機関3.1%,その他・無回答1.5%であった。その他の具体的な回答としては「地域」が含まれた。進学希望者は全体の2.7%であり,そのうち希望する進学先は大学院が最も多く,次いで専門学校,海外という回答が多かった。【結論】以前は,養成校卒業後はまず理学療法士・作業療法士として医療施設に就職することが一般的であったと思われるが,しかし今回の研究により,臨床実習の経験の有無に関わらず,学生の進路希望が多岐に渉ることがわかった。社会のニーズの変化とそれに伴う職域の拡大により,さらにその傾向が強まることが予想できる。尚,本研究は本学共同研究費の助成を受けた。最後にご協力下さった養成校の皆様に深謝する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205579935232
  • NII論文ID
    130005418645
  • DOI
    10.14900/cjpt.2015.1680
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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