古生代末期小惑星隕石衝突について

書誌事項

タイトル別名
  • Asteroid meetorite impact at end of paleozoic period

説明

1.はじめに:古生代末期のイベントに,プレートテクトニクス説とマントルプリューム説以外に,小惑星隕石の衝突があり、その点から研究成果をまとめる。<br>2.大衝突地域の場所を示す痕跡:海底の生物を大量に死滅させた、小惑星隕石の海底衝突は、地表では地殻変動が激しく2億5千万年も経つと消滅してしまって実証が難しい。しかし、最近の丸山らの地球深部プリューム・テクトニクスは、地球の断面が分るため,その証拠を正確に残している。大陸移動に示された衝突地点は、インド洋でアジア大陸の下部にある大量の下降流となっており、衝突でできた下降流がその証拠である。その下降流の反動で、直角の東西方向(アフリカ・タヒチ)にスーパー・プリューム(上昇流)が、衝突と同じ直線方向(大西洋中央海嶺)にも流体の外殻が衝撃波を伝播して、上昇流をつくることとなった。その結果、小惑星隕石の海中衝突が地球惑星最大のマントルの下降流の形成されている場所に相当し、これから北半球と南半球に大陸が大きく分裂するきっかけとなることになる。そして、生命絶滅と火山などを誘発した。<br>3.世界の地質境界の石灰岩対比:白亜紀末期KTBの地層(デンマーク・イタリアなど)と二畳紀末期PTBの地層(中国・煤山)の褐色または黒色石灰岩粘土層(隕石衝突粒子を含む地層)の方解石鉱物の格子定数・密度変化と比較した。その結果、秋吉台掘削試料の243m付近での褐色石灰岩は、他の地質境界KTBとPTBの褐色粘土層の石灰岩以上の強い力が残存していることが分かった。<br>4.褐色粘土層中の方解石の物性の異常変化:秋吉台帰り水地域の地下243mの褐色方解石の格子定数変化の範囲(最低と最大の格子定数の変化で、格子体積の場合0.44%)は、他の地質境界(イタリアKTBで0.05%、デンマークのKTBで0.22%、中国のPTBで0.33%)の黒色から褐色方解石の格子変化より約2∼9倍とかなり大きい。これは、中生代白亜紀末期KTBの方解石が、欧州から見て地球の裏側のメキシコの海底衝突のため,衝突地点から地球半周した分だけ方解石のひずみが標準方解石(堆積熱水性起源で0.01%程度)より約5∼22倍大きい。しかし、古生代末期PTB方解石は、標準方解石より約33∼44倍とかなり大きく、KTB方解石よりもさらに約2∼9倍大きい。<br>5.衝突性起源物質の同定:地下243mの褐色粘土層試料から、方解石(X線ピークの強度からの構成比87.7%)以外に炭素高圧鉱物(チャオアイト;1.1%)、隕鉄成分(テーナイト系;10.8%)と粘土鉱物(0.4%)のX線回折ピークによる結晶質の鉱物が同定された。また、それに相当する粒子の組成は、分析走査電子顕微鏡(山口大学)で確認でき、特に微量のFe–Ni含有粒子(10μmオーダー)が検出された。衛星画像などの解析から2種の円形地形が確認され交差する地域から、破砕岩や地表の高圧シリカが見られる。<br>6.まとめ 古生代末期に赤道付近で小惑星隕石海底衝突があり、大きなマントル対流を誘発し,また、その証拠に衝突孔リム付近の堆積物が残存し、中国の煤山と日本の秋吉台地域の褐色粘土層や破砕岩から、他の地質境界と同じ衝突性の鉱物が発見された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205590549760
  • NII論文ID
    130006960849
  • DOI
    10.14824/jampeg.2003.0.18.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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