教育現場のニーズに応える家庭科教員養成のためのカリキュラムの再構築

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書誌事項

タイトル別名
  • Reconstruction of curriculum for pre-service home economics teachers meeting needs of an educational front
  • Examination through a survey of senior high school home economics teachers
  • 高等学校家庭科教師の意識調査からの検討

抄録

目 的<BR>  教員免許状を取得するためには、教育職員免許法上において定められた指定科目を必要単位数以上修得しなければならない。1998年の教育職員免許法改訂により,中学校・高等学校教員免許状を取得するための最低単位数が,「教科に関する専門科目」は,40単位から20単位へと減少した.しかし,教育職員免許法施行規則で設定されている家庭科に関する専門科目は,教科に求められている時代の要請に比べ,昭和33年の改正以来変化しているとはいいがたい.<BR>  一方,中学校・高等学校の学習指導要領は,ほぼ10年ごとに改訂され,学校での学習指導内容はダイナミックに変化している.大学における教職カリキュラムは,教育職員免許法上で定められた指定科目と現行の学校教育における教育内容が一致しているということが前提であり、もし整合性を欠くならば、大学は教育現場のニーズとかけ離れた授業を行なっているといわざるを得ない。<BR>  そこで,本研究では,教育職員免許法上の指定科目と、現行の学校教育における学習指導内容との整合性を確認し、問題点の究明と改善の方策を探ることを目的とした。具体的には,高等学校家庭科担当教員を対象に,教育職員免許法施行規則にある高等学校家庭免許取得に必要な指定科目の必要性の有無に関する意識調査を行い,検討資料とした。 <BR><BR> 方 法<BR>  2006年11月から12月にかけて,近畿地区の2府4県の高等学校普通科に勤務する家庭科担当教員(1校1名)を対象に,郵送によるアンケート調査を実施した.なお,各県の学校数のバランスを考慮し,滋賀県,京都府,奈良県,兵庫県は普通科のある全高校に配布したが、学校数が多い大阪府は無作為抽出の100校に配布した.また和歌山県は全高校に配布し,回答のあった普通科のある高等学校分を分析対象とした.合計配布数は350件,有効回答数(回収率)は149件(42.6%)であった.<BR>  主な調査項目は,教育職員免許法に指定されている科目(「家庭経営学(家族関係学及び家庭経済学を含む.)」、「被服学(被服製作実習を含む.)」、「食物学(栄養学,食品学,調理実習を含む.)」、「住居学(製図を含む.)」、「保育学(実習及び家庭看護を含む.)」、「家庭電気・機械及び情報処理」)の必要性の有無と必要なしの理由,現行では必要な科目として指定されていないが高等学校で家庭科を指導する上で必要と思われる科目等である. <BR><BR> 結 果<BR> ・高等学校での開設科目は,普通科目「家庭」は,「家庭基礎」112校,「家庭総合」59校,「生活技術」4校(複数回答)であった.専門科目「家庭」は,104校が開設しており,そのうち「フードデザイン」66校,「発達と保育」52校,「学校独自の開設科目」33校の順で多かった.<BR> ・特に必要性が高かった科目は食領域の全科目(「調理実習」「栄養学」「食物学」「食品学」)と「保育学」であった.<BR> ・特に必要性が低かった科目は「家庭電気・機械」「製図」「情報処理」であった.これらの科目が不必要とされる理由には,「他の教科で学習したほうがよい」「家庭総合・家庭基礎にない」の回答が多かった.<BR> ・現行では必要な科目として指定されていないが,高等学校で家庭科を指導する上で必要と思われる科目として「消費生活」「福祉」「環境と資源」「高齢社会」の回答が多かった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205594481280
  • NII論文ID
    130006961577
  • DOI
    10.11549/jhee.50.0.8.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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