保育学習と住環境学習を関連づけた授業づくり

書誌事項

タイトル別名
  • Designing lessons to link housing education with child care learning in home economics
  • ふれあい体験を生かして
  • Taking Advantage of experience in early childhood education and care on junior high school.

説明

目的 <br> 私たちは、これまでふれあい体験を通して保育分野の学びを深めるための学習方法について検討してきた。本研究の目的は、時間数が少ないという家庭科の現状を踏まえて、保育ふれあい体験を住環境学習とリンクさせ、子どもが育つ環境を考える保育学習への拡張を検討することである。住環境学習にあたっては、実践的・体験的な活動をとりいれて主体的に考えられるような学習課題を設定することが難しいとされている。しかし、保育ふれあい体験では、生徒たちが子どもの育ちを支えるために意図された環境を実際に観察することができ、その環境の中で幼児とともに様々な活動を展開する。こうしたふれあい体験の特徴を活かした授業をデザインすることで、住環境学習と保育学習の両方の学びの充実が期待できよう。<br>  本研究における授業では、子どもの育ちを支えるために配慮された住環境に生徒たちが具体的に気づくことと、子どもの育ちのためにどのような環境を作っていったらよいか主体的に考える学習を取り入れた点がポイントである。その際、環境建築家である仙田満氏の遊び空間の6分類を参照し、保育現場の環境を丁寧に見取ることが出来るように授業を構想した。本研究では、指導計画および授業の実際について報告し、生徒の作文等の分析により、その有効性について検討する。<br>方法<br>対象クラス 中学3年生。2学期にふれあい体験を半日実施。<br>指導計画  ・ふれ合い体験後のまとめの授業として3学期に実施。ふれあい体験直後に、生徒が幼稚園環境に気付いた部分をプリントに記入させる。その集計結果を、「安全面・衛生面を考えた環境」「幼児の特徴に合わせた環境」「自分のものがわかりやすくする配慮を考えた環境」「楽しくなるような環境」に分類してまとめたプリントを配布し、幼稚園の環境の特徴について気づかせる。その際、イタリアのボローニャの工夫されている園環境についても提示し、子どもの育つ環境について配慮されている所について考えさせる。<br>・どんな場所でどんな遊びが展開していたかを思い出させる。そして、仙田満氏の遊び環境の分類を参考にして、遊びの空間を「道スペース」「アナーキースペース」「アジトスペース」「遊具スペース」「オープンスペース」「自然スペース」に分けて、実際にふれあい体験で行った幼稚園の環境の写真を見せる。環境の特徴と子どもの遊びの特徴について考えさせる。さらに地域の中にそれぞれのスペースがどこにあるかを考えさせる。<br>・身の回りの環境で子どもが育つ環境として、良い部分と改善できるところについて考えさせる。<br>分析対象 授業後に生徒に自分たちの生活する地域環境について、改善するとするなら、今後どのようにしたらよいかを書かせ、その授業感想から授業の効果について分析した。<br>結果と考察<br> ・ふれ合い体験時の写真を使って、授業を進めていった。そのため、生徒達にとっては、自分や友人が写った映像もでてくるため、関心を持続させた中に必要な知識や考える場面を取り入れられ、効果的に授業を進めることができた。また、イタリアのボローニャの幼稚園の写真を取り入れ、比較をした部分は、さらに生徒の心をひきつけると共に、日本の住環境の特徴や、異文化についても関心を広げることにつなげられた。<br>・地域の遊び環境について、仙田満氏の「遊び空間の6分類」を活用したことで、地域の子ども達の遊び環境について考えやすく、また、自分達が遊んできた場を振り返ることにつながった。・今の遊び場の環境をさらに良くしていくのは自分達だ、という主体性を育てられる展開となった。<br>・ふれあい体験学習に住環境学習をリンクさせたことで、時間数が不足する中でも充実した指導を行うことができた。バリアフリーやユニバーサルデザイン等の学習をここに関連させて行うことも可能である。<br> 

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205594754048
  • NII論文ID
    130006961848
  • DOI
    10.11549/jhee.57.0_3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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