ヒト唾液に浸漬したBis-GMA系歯科材料からのビスフェノールA溶出について
書誌事項
- タイトル別名
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- Leaching of bisphenol A from Bis-GMA-based composite resins immersed in human saliva.
説明
ビスフェノールA(BPA, CAS No: 80-05-7)の低用量作用についてNational Toxicology Programの報告及び各国でもBPAの毒性評価を報告しているが, 明確な結論が現時点でもなされていない. このBPAの耐容1日摂取量(TDI)についてはEU及びUS EPAのRfDから50μg/kg体重/日と考えられていたが, 現在のEUでは仮のTDI(a temporary TDIを10μg/kg体重/日とし, 以前のTDIに比べて5倍ほど基準値は低下している. 歯科充填用材料から溶出している化合物は充填材料の未反応のレジンモノマー, 触媒(重合開始剤, 重合調節(停止)剤など), 退色防止剤, 可塑剤などが知られているが, 特に退色防止剤として使用されている2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(BP-3, CAS No: 131-57-7)がコンポジットレジンから多量に溶出するという報告により, 社会的な関心を引き起こした. 歯科用充填材料から溶出する物質で, 特にBPA溶出量に関して社会的な関心は高いが, それに対応すべく正確な報告が少ないことに加えて, 使用されている溶出溶媒が実態環境下とは懸け離れている等の問題点がある. 本研究は唾液に1週間浸漬した4種類の歯科用コンポジットレジン硬化体から溶出するBPA, 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(BP-3)などを定量し, 溶出物の曝露量を評価することを目的とした. <BR> これらのことからBis-GMA系コンポジットレジン硬化体からBPAとBP-3が唾液中に溶出していたとしても検出限界以下であると考えられた. また, この溶出量はFDAが食品に接触する物質の摂取量を規定しているBPAのCEDI(Cumulative estimated daily intake, 累積推定1日摂取量)は185ng/kg体重/日並びにEUのt-TDIである10μg/kg体重/日に比べて〓かに低値であった.
収録刊行物
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- 日本歯科理工学会学術講演会要旨集
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日本歯科理工学会学術講演会要旨集 40 (0), 101-101, 2002
日本歯科理工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205594782592
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- NII論文ID
- 130006961887
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可