京都府立高等学校男女共修家庭科実践史研究
書誌事項
- タイトル別名
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- The History of Co-Ed Home Economics Education in Kyoto Prefectural Senior High Schools
- - Concerning Document Preservation and System Organization of Prefectural Research Committee -
- ―資料保存と府立研究会の組織体制についてー
抄録
目的:京都府内の高等学校家庭科の男女共修運動は、1963年に安田雅子教諭よる京都市立堀川高校(定時制)の実践から始まった。1974年からは一部を除く京都府立高等学校で一斉に男女共修教育課程(2単位)が実施された。現在、初期実践から49年が経過し、70年代からの実践者の退職などにより、実践の継承と資料の保存が困難になりつつある。本研究では、関係資料を収集整理し、初期実践者からの聞き取り調査も併せて行い、これらの資料を大学図書館で保管し、閲覧を可能にすることを目的としている。本報告ではこれまで収集した資料の内容を紹介し、資料分析上の課題と共修家庭科実践を牽引した京都府立高等学校家庭科研究会(以下、府立研究会)の組織体制について報告する。<br> 方法:府立研究会の関係資料を用いて、資料収集上の問題点と府立研究会の組織体制について検討する。 <br>結果:府立研究会の事務局は各校持ち回りで担当されている。このため、以前より資料の散逸が懸念されていた。その対策として約20 年前に京都府立山城高等学校で保管することが決められた。しかし、2012年5月に確認したところ、それらの資料の所在は確認できなかった。但し、山城高等学校には、歴代の家庭科教員所有の未整理の資料(1970年~1987年)が残されていた。これらの資料と府立研究会関係者から提供された資料をもとに、男女共修家庭科が一斉に実施された1974年頃までの状況を分析し、以下の結果を得た。 <br>1.調査段階で多くの貴重な資料が失われていたことから、京都府の高等学校男女共修家庭科実践のような歴史的に重要な教育実践については資料の収集と整理保存を早急に進める必要がある。<br>2.府立研究会では森幸枝と池田悠子が核となり共修実践を推進する教師集団が形成された。森や池田には、家庭科に対する差別を是正しなければならないという強い信念があった。これを実現するために、1)カリキュラム・教材・教育方法の改革と2)集団的研究体制の確立が両輪として進められた。 <br>3. 集田的指導体制を実現するために、府立研究会内には全員が所属するブロック会議に研究のための予算が配当された。この予算措置により継続的な研究体制がつくられた。<br> 4.府立研究会には、各ブロックから選出される専門委員会(常任委員会・カリキュラム委員会・指導資料作成委員会・到達度目標作成委員会)が設けられ、このほか家政科設置校で構成された家政部会があった。ブロック会議(月1回)と専門委員会(必要に応じて開催)そして総会(年3~4回開催)で討議を重ねることにより、共修家庭科の理念と方法が全教員に共有された。このプロセスが共修を進める推進力となった。 <br>5.関係者への聞き取り調査と当時の教員名簿から、府立高等学校の家庭科教員の約3割が共修実践を積極的に進めたことが明らかとなった。年齢層としては40代(約4割)が多く、中堅教員が中心となって実践を進めた。そのいっぽうで、共修に消極的な教員は約2割であり、50代後半から60代以上の教員の中には共修実施前に退職したものもいた。 <br>6.府立研究会と関連する組織として、京都府高等学校家庭科研究会(通称、3者研究会)、京都府高等学校教職員組合(組合)、家庭科教育研究者連盟京都サークル(サークル)、3組織があった。府立研究会が府立高校教員のみであるのに対し、これらは市立や私立の教員が含まれ、市立教員の安田をはじめ力量のある教員と交流する場となっていた。 <br>7.研究体制の核となった教員は、府立研究会・3者研究会・組合・サークルで常に交流し研鑽を積むことによって、共修家庭科実践を発展させ、教員としての力量を形成した。
収録刊行物
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- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
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日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 55 (0), 76-, 2012
日本家庭科教育学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205595152256
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- NII論文ID
- 130005021529
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可