2回の手作り弁当発表を導入した一般教育科目の検討

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  • Research on the general education course program included two times of presentation about the handmade lunches into

抄録

目的<br>  2回の手作り弁当発表を導入したY女子大学の一般教育科目受講生の意識と実態を検討し、食生活の向上をめざした一般教育科目の課題を明らかにする。弁当調理は、弁当箱の約1/2を主食(飯)、1/6を主菜、1/3を副菜、ビタミンAは日本人の食事摂取基準の1日の1/3以上(事前に栄養計算し確認した献立)、伝統的な農水畜産加工品を除き加工食品を使用しない条件で、また、調理時間短縮のために事前の家庭冷凍の積極的活用を勧め、発表当日は机上の弁当・レシピを相互観察させた。<br>方法<br>  2014年9月~2015年1月の一般教育科目「調理学-食べるということ・食と生活」の受講生のうち、2回の手作り弁当発表日に出席した56名を対象に、授業前後の食生活の知識、弁当調理経験、授業後の食生活とその変化に関する意識・実態調査、弁当調理後の感想、弁当調理発表後のレポートを分析した。<br>結果<br>  所属学科別回答数は、日本文学科21、現代ビジネス学科10、書道学科9、児童教育学科5、その他の学科11であった。家族と同居が57.1%、一人暮らしが37.5%で、60.7%が朝食を毎日食べており、昼食は家族に作ってもらった弁当を37.5%が、自分で作った弁当を14.3%が、学食を25.0%が、中食を23.2%が食べている。夕食は、家族が調理したものを57.1%が、自分が調理したものを26.8%が、中食を8.9%が食べている。料理頻度は、ほとんどしないが46.4%、週に2~3回が17.9%で、ほぼ毎日は14.3%にとどまっている。<br>  手作り弁当発表以前の手作り弁当経験(複数回答)は、多い順に、「大学に入学後」50.0%、「高校で自主的に」37.5%、「中学の家庭科で」25.0%、「高校の家庭科で」23.2%、「なし」5.4%であった。好きな弁当のおかず(複数回答)は、最も多いのは卵焼き(67.9%)で、続いて同じ44.6%の割合で、肉と野菜の炒めもの、肉中心の焼き物、炒めものであった。調理経験では、和え物、スクランブルエッグ、卵焼き、肉と野菜の炒め物、ゆで物、肉中心の炒めもの、炒めものがいずれも半数以上が一人で作ったことがあると答えた。<br>  授業後の食生活の知識は、授業前の平均(50点満点)の28.3から33.3点に上昇した。なお、手作り弁当2回発表後の変化の5段階の回答について、「とてもそう思う」を5、「まあそう思う」を4、「どちらともいえない」を3、「あまり思わない」を2、「全く思わない」を1として平均を算出した。その結果、変化が多い順に、「調理をしながら洗い物をするなど手際がよくなった」が4.00、「短時間で調理ができるようになった」が3.91、「味付けのレパートリーが増えた」・「調理したものや食品を冷凍保存して効率よく調理するようになった」が3.89、「余った食材を捨てることが少なくなった」が3.86となった。<br>  「もっと料理をするようになるには、何を身につけたいか」の質問に対する4段階の回答について、「とてもそう思う」を4、「少しそう思う」を3、「あまりそう思わない」を2、「全くそう思わない」を1として平均を算出した。その結果、多い順に、「短時間でできる調理方法・料理を知りたい」が3.80、「栄養バランスが取れた献立・料理を知りたい」が3.65、「味付けの方法について知りたい」が3.35となった。<br>  授業後の意識調査の自由記述には「栄養のバランス考えた弁当をつくることができるようになった」「冷凍食品ではなく食材から自分で調理できるようになった」「時間短縮の工夫点がみつかった」などの回答が多く、2回の弁当献立作成と調理は、栄養のバランスを考えた1食分の調理ができるようになるために有効であると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205595369856
  • NII論文ID
    130005485109
  • DOI
    10.11549/jhee.58.0_62
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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