実空間での照度測定と太陽軌道装置を用いた日射遮蔽実験

書誌事項

タイトル別名
  • Measurement of illumination in real space and experiment of solar radiation shading using sun's orbit systems

説明

【研究の背景と目的】<br />本研究では、1報に引き続き、日常生活での採光や人工照明による明るさと日射遮蔽物の遮蔽効果について学習してもらうことを目的として、太陽軌道装置を設置した1/10の住宅組立模型を用いて予備実験と授業実践を行った。<br />方法と結果<br />1)教室での照度測定と日射遮蔽に関する予備実験の概要<br />授業実践を行う予定の教室において、照明のON/OFFと天空日射の有無の光環境の組み合わせの4条件下で天空日射時の教室の窓側・中央・廊下側における照度を計測した。さらに、日射遮蔽の実験では、模型の4畳室の南面の側窓において7種類の遮蔽状況での夏至、春分・秋分、冬至の日の出から日の入りまでの時間において中央地点に照度を測定した。<br />2)教室での照度測定と日射遮蔽に関する授業実践<br />2016年9月21日に長岡市立A中学校の3年生1クラス23人を対象に、教室での照度測定と日射遮蔽に関する実験を行った。日射遮蔽実験は7班で行った。また、授業前後にアンケート調査を行った。<br />天空日射の有無(ロールスクリーンの上げ下げ)と照明のON/OFFを組み合わせた光環境4条件下で教室の窓側と廊下側の照度を14箇所で生徒が計測し、その結果を大学生がグラフ化して教室内の照度分布について考察した。さらに、模型の南壁面外側に2種類の日射遮蔽物を班毎に選定して取り付け室中央に間仕切りを設けて、各季節の日の出から日の入りまでの時間帯における2つの4畳室内の日射遮蔽状況を目視で確認した。<br />3)予備実験の実験結果<br />教室内の照度分布を計測した結果、照明がOFFの場合にロールスクリーンの上げ下げに関係なく廊下側と窓側の均斉度は0.08になり、照明がONの場合には、ロールスクリーンを下げるとほぼ均一な照度が確保され、ロールスクリーンを上げると均斉度は0.3になる。<br />各季節における時間毎の縦ルーバー設置時の直達日射の採光状況を検討した。冬至の場合、太陽高度が低いために光は室奥まで侵入し、縦ルーバーにより朝日を遮蔽することがわかった。一方、夏至の各時間の日射遮蔽物別にみた照度は、遮蔽物がない状態の約142lxを基準とした場合の遮蔽率は、横ルーバーやすだれで約83~89%、ひさしと縦ルーバーが約77~79%、カーテンは約70%であることを確認した。<br />4)授業時の実験結果<br />教室で照明がOFFの場合において、ロールスクリーンを下げた時(天空日射無し)の照度は1.8~3.4?で低いが、窓側と廊下側との均斉度は約0.5であり、ロールスクリーンを上げた時の均斉度は約0.3であった。また、照明がONの場合に、ロールスクリーンを下げると均斉度は約0.97であり、ロールスクリーンを上げると均斉度は約0.78であった。その結果、ロールスクリーンを下げて照明をOFFにして、各班で各季節における1日中の2種類の日射遮蔽物による遮蔽状況を目視で観察できた。<br />5)アンケート結果<br />日射遮蔽物別にみた遮蔽効果について、夏至で遮蔽効果があると回答したのは「横ルーバー」52%、「すだれ」48%で、これらは太陽高度が高い場合に遮る効果があること、及び冬至において最も高い遮蔽効果があるものとして「カーテン」や「縦ルーバー」が48%の割合で挙げられおり、太陽高度が低い時に窓全面を覆うカーテンや縦ルーバーの羽が西側に向いて西日を防ぐことができることを理解できた。<br />まとめ<br />天空日射の有無や人工照明のON/OFF時における教室内の照度分布を計測することにより明るさの相違を認識できた。太陽軌道装置を用いて1/10住宅組立模型の南面での直達日射の遮蔽に関する実験を通して、各種類の日射遮蔽効果が季節や時間帯で異なることを理解できた。<br />謝辞<br />本研究を行うに当たり、科学研究費助成事業(基盤研究(C) 課題番号15k00925 代表者 後藤哲男)の研究助成と公益財団法人建築技術教育普及センターの普及事業、日本建築学会北陸支部奨励研究の助成を受けました。ここに深謝の意を表する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205596808704
  • NII論文ID
    130005966556
  • DOI
    10.11549/jhee.60.0_35
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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