高校家庭科男女必修20年の検証

書誌事項

タイトル別名
  • Inspection of coeducational home economics in senior high schools for 20 years
  • ―関東地区4都県の教育課程調査を通して―
  • : Through curriculum investigation in 4 prefectures in Kanto district

説明

【目的】<br> 高校家庭科は、平成6年に女子のみ必修から男女4単位必修となった。しかしながら、平成15年には「家庭基礎」2単位科目が登場し、さらに平成25年には新学習指導要領がスタートして理数科目の単位増等により家庭科の授業時数の減少が一層懸念される。その中で、男女必修20年を迎えようとしている。日本家庭科教育学会の課題研究において高校家庭科の平成21年度入学生の教育課程調査を行った結果、家庭科の履修単位数減の進行は都道府県によって差が大きく、都道県レベルでの取り組みの影響が示唆された。<br> そこで、本研究では、平成21年度調査で履修単位数減が全国に比べてあまり進行していなかった関東の大都市圏を取り上げて、平成25年度入学生の教育課程への影響を把握するとともに、高校家庭科の男女必修20年を検証することを目的とした。<br>【方法】<br> 関東地区の4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)立の全日制高等学校における平成25年度入学生の普通科教育課程について、平成25年12月~平成26年2月に、教育委員会で学校要覧を閲覧及び教員への聞き取り調査を実施した。調査項目は、家庭科の必修科目と単位数、選択科目の設置、及び家庭科教員の配置について調査し、分析した。平成21年度入学生の教育課程調査と比較するため、統廃合、中等教育学校、総合学科等で変更になった高校を除外し、平成21年、平成25年で共通する東京113校、神奈川98校、埼玉97校、千葉96校、計404校を調査対象とした。<br> また、4都県の高校家庭科男女必修20年を検証するため、平成6年、平成15年、平成25年の改訂学習指導要領実施における教員配置及び高校家庭部会の取り組みについて調査し検討した。<br>【結果】<br>(1)4都県404校の家庭科必修科目の履修状況は、平成21年「家庭総合」59.0%、「家庭基礎」40.1%、「生活技術」0.5%であったが、平成25年「家庭総合」46.4%、「家庭基礎」53.4%、「生活デザイン」0.2%となり、「家庭総合」の履修率が減少している。履修単位数でみると、平成21年は3単位履修率が13.6%と高かったが、平成25年は5.0%に減少したため、2単位履修率が平成21年38.5%から平成25年は52.3%へと急増している。<br>(2)4都県404校の家庭科選択科目の設置状況は、平成21年78.3%、平成25年も77.3%と依然として高い。しかしながら、設置科目をみると、「フードデザイン」は約55%で変化はないが、平成21年「被服製作」24.2%が、平成25年「ファッション造形基礎」17.5%へ減少している。一方で、「発達と保育」は、平成21年36.2%から平成25年43.4%へ増加している。<br>(3)4都県404校の家庭科教員の配置状況は、専任を置いていない学校が平成21年は9校であったが、平成25年は14校に増加しており、そのうちの7校は、神奈川であった。4都県404校で平成21年から25年で専任が29名減少し、反対に、常勤講師を置いている学校は、平成21年は10校しかなかったが、平成25年は50校へと激増しており、家庭科の履修環境が悪化している。<br>(4)4都県における20年間の家庭科教員配置の推移をみると、平成6年男女必修で授業時数が倍増した時の教員配置の対応が、家庭部会の取り組みや現在の教員配置に影響している。埼玉、東京は、「家庭科担当教員養成事業」で他教科からの家庭科免許取得、新採用の増加など専任で対応し、神奈川、千葉は、非常勤講師で授業増加分を補っている。H25年家庭科の履修単位数の減少で、専任数が少なく専門学科併設がない神奈川は、1校当たりの専任率が下がり専任無配置につながっている。一方で専任数の多い埼玉は、専任のいない学校はないが、平成25年度の新採用教員がいない。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205597279872
  • NII論文ID
    130005478110
  • DOI
    10.11549/jhee.57.0_30
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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