台湾眷村における伝統的生活文化の特質

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書誌事項

タイトル別名
  • Traditional Life and Culture in Taiwan Military Base
  • 現地における予備調査に基づいて
  • A Preliminary Investigation Based on On-site Review

抄録

台湾主要な民族は、閩南、客家、外省と14の原住民族であるが、多くの民族文化が混在していることがわかる。本研究で取り上げる「眷村」とは、中国における內戦時代(1927~1949年頃)に、台湾に駐屯した国民政府の軍隊の兵士とその家族が生活した村の総称である。眷村での生活が、台湾を代表する一つの文化として定着したことを如実に表しているといえよう。台湾に到来した外省人たちの文化は、それ以前から台湾に居住していた人びとの文化とは大きく異なっていた。眷村は、1996年に発表された台湾政府の施策である「老舊眷村改建計畫」に基づいて政府に買い取られ、古い文化とみなされ破壊される傾向にある。また、その跡地には、新しいマンションが建設されるなど、眷村文化は次第に消滅しつつあり、その生活文化を見直すことが急務である。なお、今日、眷村の子孫の多くは、上述したマンションでの生活を余儀なくされているため、かつて、自分の先祖が残した文化を知る機会はほとんど与えられていない。それゆえに、人びとが、自らのアイデンティティを確認することも少なく、眷村文化を保存することは、眷村の子孫がそのアイデンティティを守り、台湾における一つの文化を継承していくという点で、極めて有意義であると考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205611234560
  • NII論文ID
    130005485451
  • DOI
    10.11247/jssd.62.0_230
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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