京都市におけるデング・チクングニヤウイルス感染症の媒介能を有する蚊属の出現頻度と高温異常気象との関連性についての研究

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Possible Relationship between Climatic Factors in Extreme Hot Summer and Delayed High Incidence of the Aedes albopictus in Kyoto 2010

抄録

国際的な観光地である京都市は毎年秋に観光客のピークを迎え、国内外の人の移動および滞在が非常に盛んになる。一方、2010年8月中旬より9月初旬にかけて京都市はこれまでの記録を更新する連続25熱帯夜を記録し、隣接市でも全国1,2の19,17日連続猛暑日を記録するなど、観測史上初めての連日の高温にみまわれた。この年の7月から11月にかけて、京都市左京区および伏見区において、BGセンチネルトラップを用いて蚊属成虫の捕獲調査を毎週、左京区においてオビトラップによる隔週の幼虫捕獲調査を行った。捕獲数を気温・湿度・水温・降水量の連続観測結果との関係において時系列分析したところ、ヒトスジシマカ成虫メスの捕獲数において、高温期の4週後に負の、高湿度の3週間後に正の、統計上有意な相関を見出した。既知の温度と幼虫生存率との関係から導出した生存指標は、捕獲数との相関をより鋭く示した。連続高温期には捕獲数は低下したが、気温が低下するとともにするどいピークをもって捕獲数は上昇した。連続高温期が蚊の発生ピークを遅らせる可能性があることを自然状態の観察結果より示し、蚊の発生ピーク時期がこれ以上に遅れると観光客シーズンと重なり、媒介する感染症の発生拡大のリスクが高まることを指摘した。 本研究では、海外での応用も念頭においた低コストで教育効果も高い住民参加型の適応型ベクターコントロール手法の開発のために、有効な気象パラメータを特定し、観測および観察手法を検討することを目的としている。簡素かつ低廉な方法でベクターコントロールを行う行政との連携に必要な予報指標を得られることがわかった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205620645248
  • NII論文ID
    130005478340
  • DOI
    10.11536/jsmez.63.0_44_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ