<I>Anopheles dirus</I>の発生源を成虫の採集データから推定する
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- 砂原 俊彦
- 長崎大・熱研・病害動物
書誌事項
- タイトル別名
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- Estimating breeding sites of <I>Anopheles dirus</I> from the data of adult collection
抄録
ベトナム南部ビンフック省の村におけるマラリア媒介蚊Anopheles dirusの成虫の飛来数が局所的な人家の密度と負の関係を示すことを昨年の大会で報告した。雨期のデータでは飛来数は半径350m内の人家の数の逆数と強い相関を示したが、乾期のデータでは当てはまりは悪かった。これは雨期に比べて乾期には発生場所がより偏在することによると考えられた。幼虫の発生場所が分かれば各家への飛来数がより正確に推定できるはずだが、広い範囲でこの蚊の発生源を量的に特定するのは大変難しい。そこで今回は、一部の家で成虫の飛来数が分かっている場合に、そのデータから幼虫の発生源がどこに多いかを推定し、村全体のマラリアリスクの分布を予測するモデルの構築を試みた。村全体にある密度で均一に発生源が存在するのに加えて、1ないし数カ所特に発生量の大きい場所があると仮定する。そしてそれらの場所から羽化した成虫は、放射状に拡散しながら遭遇した人家にある確立で飛来すると仮定する。特定の発生源からある家に飛来する蚊の数は、発生した蚊のうちその家の方向に飛来し、途中に存在する家には入らずにその家まで到達した数に一定の誘因確率を掛けたものとなる。すなわちこのモデルでは発生場所までの距離のみでなく、発生場所と家との間に存在する他の家の数も考慮する。均一にある発生源密度、特異的発生源のXY座標および発生量、家への誘因確率を未知パラメターとして採集された成虫のデータからポアソン分布に基づく尤度を計算し、これを最大化するパラメターをNelder-Mead法で推定した。特異発生源を1カ所から3カ所まで想定して計算したモデルによる予測を前回報告した家の密度のみからの予測と比較する。
収録刊行物
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- 日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
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日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 63 (0), 48-48, 2011
日本衛生動物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205620649088
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- NII論文ID
- 130005478346
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可