都市公園におけるヒトスジシマカの成虫発生密度と環境要因との関係
書誌事項
- タイトル別名
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- The relationship between adult population density of Aedes albopictus and environmental factors in the small parks of Nishinomiya City
説明
ヒトスジシマカは、1940年代に我が国で流行したデング熱の媒介蚊であり、現在米国本土で流行している西ナイル熱の媒介蚊となりうる事が指摘されている。この蚊は1980年代から、主に古タイヤの世界的な貿易に関係して多くの国へ分布域を広げ、米国1984年、ブラジル1986年、イタリア1990年、南アフリカ1991年、グアテマラ1995年、コロンビア1998年など北・中・南米、ヨーロッパ、アフリカ諸国、ニュージーランド等に分布が確認されている。さて、2005~2006年にかけてインド洋島嶼国、インド、スリランカ等で流行したチクングニヤ熱は、170万人を超す患者が報告された。 このウイルス疾患はヒトスジシマカが重要な媒介蚊で、ウイルス変異がヒトスジシマカ体内での増殖活性を高めたとの報告がある。2007年に北東イタリアの小さな村で突然流行したチクングニヤ熱は、患者が約300人発生した。現在、イタリア全土にヒトスジシマカが分布しており、成虫密度も高い。しかし、我が国の成虫密度と諸外国の密度との比較は、統一した評価法が存在せず比較が困難であった。そこで、捕虫網で吸血飛来した成虫を8分間捕集する方法を西宮市の公園で試みた。その結果、同一公園であっても捕集ポイントで捕集数が10倍以上大きく異なることが明らかとなった。これら8分間捕集数の差がどのような環境要因に関係するか、公園面積、3m以上の樹木密度、幼虫発生源からの距離、住宅の壁や塀などの遮蔽物などの環境要因を解析したので報告する。なお、8月から9月の成虫密度が高い時期の密度評価によって、8分間に0-5個体程度吸血飛来する環境、10-15個体の環境、20個体以上の環境などが存在することから、蚊媒介性感染症の流行時および平常時における防除対策の重要性に関して、ある種の基準を提供できる可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
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日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 61 (0), 29-29, 2009
日本衛生動物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205620884992
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- NII論文ID
- 130006980590
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可