ユスリカ大発生その後~児島湖を事例にして~

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タイトル別名
  • After chironomid mass emergence -For Lake Kojima-

抄録

児島湖におけるユスリカの大発生は,初期には晩秋のアカムシユスリカが主体であったが,近年は水質の改善に伴って春・秋のオオユスリカがこれを凌ぐようになってきたため,大発生と人間の活動時期とが一致することになり,被害が深刻化している.本研究では,大発生をコントロールし,被害を軽減するための方策を模索するとともに,ユスリカの有用性を検討することを目的とした.まず,湖をメッシュに分けて幼虫の分布パターンを調べ,主波長・強度の異なる種々の人工光源を用いて成虫の走光性を調べることにより,成虫集積メカニズムの解明と襲来を避けるためのランプ種の検討を行った.また,発生量の軽減を念頭に置き,魚類による捕食実験および幼虫そのものを用いた環境浄化実験を行った.集積については,流入河川からの栄養分で大量発生した植物プランクトン由来のヘドロが河口・湖奥部に堆積し,これを食べて生育した幼虫が蛹や成虫の段階で吹送流や季節風,住宅地の強光により東岸に襲来するというメカニズムが考えられ,青・緑色系ランプ(ピーク波長 440~530nm)の強い誘引作用を利用して成虫を湖岸帯に留められる可能性が示された.また,ニゴイ,モツゴなどが幼虫を効率良く摂食すること,さらに幼虫を使えばネリ餌に対し種数で2倍,個体数で3倍の魚類が釣獲されたことから,魚類を用いた幼虫棲息密度の低減も可能であることがわかった.一方,室内実験で幼虫の投入によって底質の炭素量が対照区に比べて著しく減少したことから,幼虫を用いた環境浄化の可能性も示された.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205620894976
  • NII論文ID
    130005478436
  • DOI
    10.11536/jsmez.64.0_46_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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