発掘されつつあるアナプラズマ症やエーリキア症とその媒介動物

書誌事項

タイトル別名
  • Potential tickborne infectious diseases , ″Anaplasmosis and Ehrlichiosis″,in Japan

説明

新興感染症「アナプラズマ症」と「エーリキア症」は,1990年代に米国で発見されたマダニ媒介性の発熱性疾患で,これらの病原体は偏性寄生性細菌のAnaplasma phagocytophilumEhrlichia chaffeensisである. A. phagocytophilumは生体内で顆粒球(特に好中球)に感染し,E.chaffeensisは単球・マクロファージに感染する.いずれの病原体も自然宿主(野生シカや野ネズミ)に共存しており,マダニの刺咬を介して,他の個体へと移行する. よって,これらの病原体を保有するマダニがヒトを刺咬すると感染する. A.phagocytophilumの媒介マダニ種は,米国ではIxodes scapularis(クロアシマダニ)やI.pacificus (西部クロアシマダニ)で,また欧州ではI.ricinus(ヒツジマダニ)であることが知られている.アナプラズマ症に関しては欧米では知見が蓄積してきているとともに,最近,アジアにおいても分子疫学調査が盛んになってきた.日本においては,国内に生息する多種類のマダニからA.phagocytophilumに特異的な遺伝子が検出されている.そのマダニ種は,I.persulcatus(シュルツェマダニ),I.ovatus(ヤマトマダニ),Amblyomma testudinarium(タカサゴキララマダニ ),Haemophysalis longicornis(フタトゲチマダニ),H.formosensis (タカサゴチマダニ),H.megaspinosa(オオトゲチマダニ)である.また,我々のこれまでの研究で,アナプラズマ症が疑われる2名の患者を見出している.E.chaffeensisに関しては,国内のシカから特異遺伝子が検出されているが,そのマダニ種についてはまだ不明である.今回,「アナプラズマ症」と「エーリキア症」,およびその媒介マダニなどについて紹介したい.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205620896000
  • NII論文ID
    130005478438
  • DOI
    10.11536/jsmez.64.0_42_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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