アカイエカ群の個眼数に見られる季節変異と地理的変異

書誌事項

タイトル別名
  • Variation of ommatidial number in Culex pipiens cmplex in Japan

説明

25℃で飼育したチカイエカの4系統,362個体について複眼の左右1から6列目の個眼数の頻度分布を求めた.左右共に5列目の個眼数が8個以下の個体は97.5%,6列目では全体の99.3%であった.温度調節が行われていない住居内で孵化したチカイエカの幼虫を6_から_10月に飼育し羽化した雌個体の個眼数の変異を調査した.その結果調査期間全体を通じて,個眼数が9個の個体はまったく得られなかった.これらの結果はチカイエカの個眼数の変異が小さく,季節的にもかなり安定した形質であることを示唆している.温度調節が行われていない住居内で4_から_10月に飼育したアカイエカ339雌について個眼数を調べた.個眼数の頻度分布は季節を通じてほぼ同じで,左右共に8個以下の個体は5列目で2.8%,6列目で3.0%であった.チカイエカとアカイエカの個眼数の頻度分布には重なりがあり,その重複度は5列目で5.3%,6列目で3.7%であった.これらの実験結果に基づいて,左右の5あるいは6列目の個眼数によって,どちらも8個以下である個体をチカイエカ,左右の少なくとも一方の個眼数が9個以上である個体をアカイエカと判定すると3_から_5%程度の誤同定になると考えられる.秋田県,関東地方,大阪,広島,高知,長崎で採集されたアカイエカ群成虫サンプルを用いて,最近開発された分子生物学的手法によるアカイエカとチカイエカの判定法と個眼数による判定法の比較を行い,個眼数の地理的変異について考察を行った.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205622075904
  • NII論文ID
    130006982120
  • DOI
    10.11536/jsmez.58.0.12.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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