変形性膝関節症患者の機能評価
書誌事項
- タイトル別名
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- ~JOAとJKOMの関連性~
説明
【目的】<BR> 変形性膝関節症(以下,膝OA)患者における機能評価として,日本整形外科学会膝疾患治療成績判定基準(以下,JOA)が広く使用されてきた.歩行能や階段昇降の評価に優れているが,疼痛との関連を主としており,QOLを反映しているとは言いがたい.一方,自記式回答質問表である日本版変形性膝関節症患者機能評価表(以下,JKOM)は,膝OAの病態や症状に反応するように作成されている患者立脚型機能評価尺度である.今回,膝OAと診断され関節鏡視下手術を施行した患者に対し,JOAとJKOMを用いて評価を行い,両者の関連性について比較検討したのでここに報告する.<BR>【対象】<BR> 平成20年1月から平成21年3月までに当院を受診し,40歳以上の膝OA患者で関節鏡視下手術を施行した134名(男性41名,女性93名,平均年齢62.4歳)を対象とした.<BR>【方法】<BR> 術前,術後1ヶ月,3ヶ月でJOA,JKOMにて評価を行った.得られた結果より,JOA及びJKOMの各項目との関係について回帰分析を用いて比較検討し,有意水準は5%未満とした.<BR>【結果】<BR> 術前では,JKOM痛みこわばり・日常生活・普段の生活とJOA歩行・階段昇降・屈曲の項目において有意な関連性が認められた.術後1ヶ月では,JKOM日常生活とJOA歩行・階段昇降において改善がみられ,有意な関連性が認められた.術後3ヶ月では,JKOMの全項目とJOA歩行・階段昇降において術前に比べ改善がみられ,有意な関連性が認められた.<BR>【考察】<BR> 術後1ヶ月では,JKOM日常生活の項目とJOA歩行・階段昇降の項目のみ有意な関連性が認められた.これは,JKOM日常生活の項目とJOAの項目両者に歩行や階段昇降に対しての設問があること,また,長距離歩行や階段昇降が,術後1ヶ月においては過負荷となり,疼痛の出現により動作困難となったためと考えられる.しかし,その他の項目については有意な関連性が認められず,その理由として,JKOMはJOAに比べ項目数が多く,各日常生活動作における疼痛や困難さについて把握しやすいのではないかと考える.術後患者の日常生活の評価では,長距離歩行や階段昇降のように限局した動作だけでなく,各日常生活動作での詳細な変化を確認していく必要があると考えられる.<BR> また,術後3ヶ月において,JKOM全項目とJOA屈曲・腫脹の項目において関連性は認められなかった.これは,日常生活において関節可動域や筋力が不十分であっても,動作の代償,回避により患者自身が困難さを感じていなかったためと考えられる.<BR> JKOMを用いた主観的評価により主訴やNeedを把握し,関節可動域や筋力,動作について客観的評価を行い,経時的な回復程度の確認や患者自身の病態認識を促すことで,状態に合わせた詳細な目標設定ができ,細部にまで目を向けたリハビリテーションが可能になると考えられた.
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2009 (0), 131-131, 2009
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205623805568
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- NII論文ID
- 130006984059
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可