MMSEからみた認知機能検査の検討
説明
【目的】<BR>認知症の早期診断としてHDS-RやMMSEなどの認知機能検査やCT、MRIやSPECT/PETなどによる形態・機能画像検査が行われている。当院の物忘れ外来(神経内科)にて、認知症疑いの方からかなり進行された方の診断、治療を行っている。当院ではMRI、SPECTさらに甲状腺機能を含めた血液生化学検査、上記の認知機能検査の他にN式精神機能検査(以下N式)、コース立方体組み合わせテスト(以下コース)を実施している。また、軽度認知障害(以下MCI)に対しては、WMSR-logical memory、ADAS-Jcog、生活健忘チェックリスト、CDRを行っている。今回MMSEを中心に認知機能検査のデータをまとめたのでここに報告する。<BR>【対象】<BR>主たる対象は、物忘れ外来や入院患者の平成16年1月から平成18年3月まで認知機能検査を行った154名(平均年齢73.8±8.7)で、主なる疾患はAlzheimer型認知症(以下AD)が多く、その他脳血管性認知症 (以下VD)、Parkinson病(以下PD)、MCIの順である。<BR>【方法】<BR>MMSEの点数にて、24点以上の正常域群、23から16点の軽度群、15から6点の中等度群、5点以下の重度群の4群に分けHDS-R、N式、コースを比較検討する。<BR> 【結果】<BR>正常域群ではMMSE(25.9±1.7)、HDS-R(24.1±4.2)、N式(88.8±12.0)、コース(69.6±22.7)。軽度群ではMMSE(19.7±2.2)、HDS-R(16.9±4.1)、N式(74.3±11.5)、コース(54.2±13.9)。中等度群ではMMSE(11.7±2.7)、HDS-R(8.2±3.4)、N式(43.9±15.0)、コース(42.7±10.5)。重度群ではMMSE(1.7±2.9)、HDS-R(1.7±2.9)、N式(6.3±6.5)、コース(33.3±0)となっている。認知機能検査として一般的とされているHDS-R、MMSE、N式、コースを比較してみると、HDS-R、MMSE、N式ではばらつきの少ないデータが出たが、コースではばらつきの多い結果となった。<BR>【考察】<BR>MMSE24点以上群においてコースIQ33から49群(6/42人)、MMSE 23から16点ではコースIQ33から49群(23/68人) おり、簡便なスケールにては正常、もしくは軽度と判定されるが、コースIQの低い方は当院ではAD、PDと診断されている場合が多く、これらのスケールにて補えない構成障害に対してコースは有効であると考えられる。今後は認知症の中核症状そのものと直接関連しない、非特異的な障害(注意障害、疲労など)に十分注意しながら、患者に負担の少ない認知機能検査の検討を行っていきたい。今回のデータを様々な角度より統計処理を行い、特に軽度認知症の研究に役立てたいと考えている。<BR>
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2006 (0), 143-143, 2006
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205624031104
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- NII論文ID
- 130006984251
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可