突発性間質性肺炎のステロイド投与量に伴い段階的運動負荷訓練を実施したステロイドミオパチーの一症例

DOI
  • 東 友美
    日本赤十字社 長崎原爆諫早病院 リハビリテーション科
  • 片岡 拓巳
    日本赤十字社 長崎原爆諫早病院 リハビリテーション科
  • 安藤 絵美
    日本赤十字社 長崎原爆諫早病院 リハビリテーション科
  • 福島 喜代康
    日本赤十字社 長崎原爆諫早病院 呼吸器科

抄録

【はじめに】<BR> 突発性間質性肺炎(以下、IIP)とは肺の間質を病変の主座とする原因不明、進行性の炎症性疾患群の総称である。治療には副腎皮質ステロイド薬が使用されるが、時に副作用が問題となる。中でも理学療法(以下、PT)時に注意する症状は運動誘発性低酸素血症(以下、EIH)、脈拍上昇、呼吸困難感等である。今回肺癌術後の療養中にIIP急性増悪となり、ステロイド治療中に下肢近位の筋力低下が著明なステロイドミオパチー(以下、SM)とEIHを認め起居動作・歩行困難となった症例を担当した。リスク管理を行いながら段階的運動負荷訓練を実施しADL自立自宅退院となったので、PT経過と投薬経過を比較検討しここに報告する。<BR>【症例および現病歴】<BR> 63歳、男性。入院前の職業、学校用務員。H18年2月にIIP診断されるが特に治療はなし。H20年6月に肺癌を診断され7月29日左下葉切除。8月9日に当院転院。転院当初は酸素療法実施下でADL自立。9月中旬IIP急性増悪した。<BR>【理学療法および経過】<BR> 10月20日からPTを開始した。開始当初、KL-6は1100U/mL、ステロイドは点滴にて250mg/日投与、酸素療法安静時1.75L動作時4L下で起き上がり時SpO283%、脈拍130回/分、下肢筋力(モルテン社製デジタル下肢筋力計使用)右1.1kg左1.6kg、起居動作に介助を要していた。訓練中はSpO290%維持、脈拍は予測最高心拍数の65%を超えない範囲内でパルスオキシメーターにてモニタリングしPTをベッドサイドより開始した。段階的運動負荷増量にはMETsを参考におこなった。10月29日ステロイド錠剤30mg/日、1METsの平行棒内歩行訓練施行。11月25日ステロイド錠剤20mg/日、2METsの前方支持O2キャリー歩行訓練施行。12月2日ステロイド錠剤15mg/日、3METsのエルゴメーター施行。2月19日ステロイド錠剤10mg/日、5METsの階段昇降訓練施行。最終評価時、ステロイド錠剤10mg/日、KL-6は381U/mL、下肢筋力右30.5kg左29kg、酸素療法動作時3L下SpO290%Keepで6MDは300m可能、階段・入浴自立となった。<BR>【考察】<BR> SMはステロイド投与量が減量するごとに改善するとされている。しかし、IIPは進行性の炎症性疾患でありEIHなどのリスクがある重症例の場合、高負荷の運動療法は危険を有する為2.5~3METs程度の訓練が有効とされている。今回、初期の段階に1METSの低強度訓練から開始しステロイド投与量とKL-6などの検査項目を確認した。その結果、肺機能改善に伴いリスク管理と運動負荷増量した事が状態を悪化させる事無く下肢筋力UPと5METsの階段昇降が可能になったと考える。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205624039808
  • NII論文ID
    130006984265
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2009.0.168.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ