変形性膝関節症患者のROMに与える影響について
書誌事項
- タイトル別名
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- 膝蓋骨に着目して
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説明
<BR>【目的】<BR> 全人工膝関節置換術(以下TKA)を施行した患者の関節可動域(以下ROM)は、術前のROMに影響を受けるという報告は多くある。しかし、このROM制限に関した報告は見当たらない。ROM制限因子を把握することによって、術前の理学療法をより効果的に施行でき術後良好なROMを獲得できると考える。そこで今回、変形性膝関節症患者(以下膝OA)のfemoral tibial angle(以下FTA)と膝蓋骨の適合度を示す指標であるCongruence angle(以下CA、膝関節軸写位における大腿骨内顆および外顆それぞれの最上点と顆間窩の最下位とを結んだ線のなす角の二等分線と顆間窩の最下端と膝蓋骨関節面最下端とを結んだ線とのなす角:正常値-6±11°)がROMにどのように影響しているかを検討する。 <BR>【対象と研究方法】<BR> 対象は2005年1月1日から12月31日までに当院にて膝OAと診断され、手術目的にて入院された症例で調査可能であった13名をCAが正常値を示した5名(以下A群、CA-2±4.3°)と,その対象群としてCAが異常値を示した8名(以下B群、CA-7±32.9°)に2分類した。なお両群ともに術前でPatellar hightは正常値であった。研究方法は、Merchant法にて撮影したX‐P所見をもとにFTA、CAを計測し、日本整形外科学会に準ずる方法で両群間の術前の膝ROM(屈曲・伸展)を計測し比較した(t‐検定,P<0.05)。またCAとの関連因子を探索した(回帰分析)。 <BR>【結果】<BR> A群とB群の膝関節屈曲において有意差を認めた(P<0.02)が、膝関節伸展において有意差は認めなかった。A群では、CAとFTAにおいて正の相関が認められたが、B群では相関は認められなかった。 <BR>【考察】<BR> 水平面にて計測されるCAが矢状面上の動きにも影響を与えているということが分かった。またCAとFTA間で正の相関があったことから、膝OA患者において膝蓋大腿関節の状態を把握することの重要性が示唆された。よって術前においてROMの改善を行う場合、膝蓋大腿関節特に膝蓋骨の位置に注意した理学療法プログラムを構築していく必要があるのではないかと考える。 <BR>【今後の課題】<BR> 今回は膝OA患者の機能構造面にのみ焦点をしぼった研究である。しかし膝OAのROMに影響を与える因子は他にも疼痛・腫脹・心因性など様々考えられる。今後、他の因子も踏まえた研究をしていく必要があると考える。また、膝蓋骨の位置に注意した理学療法プログラムを構築し検証していく必要があると考える。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2006 (0), 45-45, 2006
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205624076160
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- NII論文ID
- 130006984319
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可