Hart Walkerの紹介 第一報
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- 機能と構造
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説明
【はじめに】<br>Hart Walker(以下HW)は1989年に英国の医療技術者David Hart氏により開発された歩行器である。脳性まひをはじめとする子ども達を対象とする。その機能と構造から上肢支持は必要とせず、両手を自由に使えることが特徴である。日本では2000年から普及活動が始まり、現在は約150名が装着している。HWは個々の運動特徴や身体状況に対応できるよう多くの調整箇所があり、正しい立位姿勢や歩行のために運動を制御できる構造となっている。今回はHWの機能と構造を紹介する。<BR>【機能と構造】<br>HWは身体につけるブレース部と四輪台車と大きく二つの構造に分けられる。ブレース部分は外側のみ支柱がある体幹・骨盤帯付長下肢装具によって構成されている。ブレースは体幹や下肢の支持・運動をサポートし、抗重力位での立位保持や歩行を可能にする機構を有している。股・膝・足関節にJointを持ち、それぞれに屈曲伸展方向の運動と足関節伸展方向の制動をかけることが可能で、これにより歩行時の下肢の振り出しが可能となる。また、支柱により内外転方向への運動は制御され、脳性まひ児に多くみられるシザース肢位を防止することが可能である。その他、膝関節の過伸展を防止するハイパーイクステンションストップや膝関節伸展補助としてニーイクステンダーなどのオプションを使用する事も可能である。次に、四輪台車はサスペンションやブレース部と連結する前・後方のイラスティックにより免荷や体重移動、また下肢の運動制御に作用する構造となっている。このブレース部や四輪台車を組み合わせて使用することで子ども達は下肢を交互に振り出し歩行することが可能になり、自由な移動を獲得することができる。加えて、上肢が自由に使えることや転倒する危険が無い構造となっている為、日常生活の様々な場面で使用されていることも大きな特徴である。具体的には学校等で周囲と同じ目線に立ってバレーボールをしたり、モップを手に持ち掃除に参加したりするなど、あそびや生活機能の拡大と参加、上肢機能の改善が期待できる。また、HWは個々の運動特徴や身体状況に加え、成長に合わせて対応できるようになっている。<BR>【適応】<br>HW装着者のほとんどは脳性まひであるが、レット症候群や筋ジストロフィー症の子ども達も装着している。ブレース部の長さの問題により装着者は身長が80cm以上であることが条件である。<BR>【おわりに】<br>この第一報ではHWの機能と構造について紹介してきた。HWはその機能と構造から様々な効果が期待できる歩行器である。それ故、適応や効果を判定していく必要がある。しかし、一般的な歩行評価などではHWに適応していく過程や運動の質を評価することは困難で、効果判定は我々の課題とされていた。次の第二報ではHWの効果判定に向け、作成した移動能力分類システムについて紹介する。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2006 (0), 64-64, 2006
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205624551552
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- NII論文ID
- 130006984774
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可