高齢肺炎患者における転帰についての検討

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  • ~転帰に影響するADL動作~

抄録

【目的】<BR> 現在日本における肺炎の死亡率は全疾患中4位であり、高齢であるほど死亡率が増加する。高齢者における肺炎の治療は完全でないことも多く、根治に至った場合においても罹患期間中の長期臥床によりADLの低下をきたすことも少なくない。<BR> 高齢者の肺炎罹患患者はADLの低下をきたしやすく、全身性の廃用症候群の進行、認知面の低下から寝たきり状態となり、自宅復帰が困難となる症例も多い。<BR> そこで今回、当院入院した肺炎の診断名がついた患者について、その後の転帰に影響するADL要因について検討・考察し、今後アプローチ方法に活かそうと考えた。また、特にどのようなADLが患者の転帰について影響しているのかを考察した。<BR>【方法】<BR> 対象症例は、H.21.6~H.23.4に肺炎で当院入院中患者において、入院前の生活レベルが自宅生活中であり、ADL自立している症例のうち、内科的治療と並行して呼吸理学療法施行している全24症例を対象とした。また入院中に死亡した症例5症例は除外した。それらの患者を、肺炎治療後、退院先が自宅となった症例(以下A群)・自宅以外となった症例(以下B群)に分類し、入院から退院時のFIM得点項目の推移を統計・考察した。その両群をFunctional Independence Measure(以下FIM)における小項目・中項目にて比較した。統計処理は中項目の差をt検定、小項目の差をmann-whitenyのU検定を用い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 中項目で比較した結果、セルフケア・排泄・移乗・移動の項目において有意差(P<0.05)が認められた。しかしA群・B群間のFIM小項目においては有意差を認めなかった。<BR>【考察】<BR> 今回の結果から、重症度分類、発症からリハ介入時までの日数、FIMの小項目には有意差を認めなかった。FIM排泄・移乗・移動の中項目においては有意差が認められた。これは対象患者が肺炎の発症にて治療上の臥床を強いられることによりFIMにおいて運動項目の低下が引き起こされた為であると考えられる。<BR> この有意な低下を予防する為にはリハ介入時からできるかぎり早急に患者の早期離床が不可欠であると考えられる。井元らの研究においても入院期間中の身体活動量は減少傾向にあり、そのことがADLの低下につながった可能性があるとしている。<BR> また先行文献によれば介護者の負担増大も自宅退院の妨げになっているとあるため、早期に身の回り動作を獲得することで自宅退院につながる可能性がある。<BR> 追行研究では、今回有意な差が見られた項目に対して積極的にアプローチを行い、自宅復帰率の向上率がどのように推移するか追って調査したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205624692480
  • NII論文ID
    130006984913
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2011.0.34.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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