発症後5ヶ月経過した脳梗塞片麻痺患者の上肢機能の廃用について
書誌事項
- タイトル別名
-
- ~麻痺側上肢への積極的な自動介助運動の試行~
説明
【はじめに】<BR>片麻痺患者の麻痺側上肢の回復は、6~12週までといわれている。今回、発症より5ヶ月間経過した脳塞栓症により左片麻痺を呈した症例に対して、麻痺側上肢に対する積極的な自動介助運動を実施した結果、上肢機能が向上したので報告する。<BR>【症例紹介】 <BR>66歳 男性<BR>診断名:脳梗塞後左片麻痺、心房細動<BR>発症日:H19年7月16日<BR>入院日:H19年12月19日<BR>現病歴:H19年7月16日、自宅にて左上肢脱力感あり、A病院へ搬送。上記診断を受けた後、他病院で約5ヶ月間のリハビリ後、当院へ入院。<BR>既往歴:40歳 網膜剥離 63歳 心房細動<BR>【初期評価】<BR>(H19年12月12日)<BR>主訴:「左手使うとイライラする、つかえん」「でも手が動くようになりたい」<BR>Br.stage(grade):III(6):III(5):IV(7) <BR>ROM:左肩関節屈曲125°(P) 外転100°(P) 外旋50°(P) (P=疼痛あり) <BR>MMT:右上下肢5レベル<BR>握力:右32.0kg 左5.5kg<BR>STEF:右100点 左0点<BR>ADL:FIM 120/126点<BR>食事…麻痺側上肢は膝の上に置いたまま<BR>更衣…ネクタイ締め以外可能<BR>片麻痺上肢能力テスト:廃用手<BR>【経過】<BR>H19年12月12日:PT、OT開始<BR>麻痺側上肢に対して1回/日、5日/週(肩肘関節屈曲・前腕回内外・手関節掌背屈・手指伸展)各運動方向へ自動介助運動を30回実施<BR>12月19日:臀部へのリーチ可能<BR>12月26日:頭部までリーチ可能<BR>1月8日:食器を把持し口へのリーチ可能<BR>【最終評価】<BR>(平成20年1月16日)<BR>主訴:「手が使えるようになった」<BR>Br.stage(grade):V(9):IV(7):V(7) <BR>ROM:左肩関節屈曲170°(P) 外転100°(P) 外旋60°(P) <BR>MMT:右上下肢5レベル<BR>握力:右32.0kg 左11.0kg<BR>STEF:右100点 左3点<BR>ADL:FIM 121/126点<BR>食事…麻痺側上肢でお椀を持って口まで持っていける<BR>更衣…両手でネクタイ締めも可能<BR>片麻痺上肢能力テスト:補助手A<BR>【考察】<BR>片手動作の獲得により、早期にADLが自立する事はリハの重要な目標の一つである。<BR>本症例は、片手動作にてADLはほぼ自立しており、麻痺側上肢はADLにおいて必要とされない手であった。しかし、「もっと手が動くようになりたい」と強く希望していた。そこで、麻痺側上肢への積極的な自動介助運動を試みた結果、約1ヶ月後に上肢機能が向上し、ADLでも使う手になった。<BR>今回、STEFおよび上肢グレードが改善したのは、回復の時期からの麻痺の改善よりは廃用の部分が大きいと思われる。発症早期よりこうした訓練を取り入れることで、廃用を予防できるのではないかと考える。
収録刊行物
-
- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
-
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2008 (0), 209-209, 2008
九州理学療法士・作業療法士合同学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205624727808
-
- NII論文ID
- 130006984951
-
- ISSN
- 24238899
- 09152032
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可