慢性呼吸不全急性増悪でウィーニングに難渋した症例
書誌事項
- タイトル別名
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- ~人工呼吸器からの離脱と在宅復帰に向けての挑戦~
説明
【はじめに】<BR> 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は全身疾患として捉われるようになり、四肢の筋力増強を中心とした全身運動療法が人工呼吸器からのウィーニング率やADLの改善、予後において有効であるという報告がある。今回、ウィーニングが困難な状態でありながらも呼吸筋及び四肢の筋力増強訓練を中心に行い、在宅復帰の可能性が見出された症例について報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 入院前日より呼吸状態不良となり、翌日かかりつけ医へ行く途中に意識消失。当院に救急搬送、気管内挿管されICU入院となる。翌日意識回復し、抜管され第4病日目より理学療法開始。第10病日目に再度呼吸状態悪化し意識消失、挿管されICUにて人工呼吸器管理となった。<BR>【アプローチ及び経過】<BR> 急変時の所見は、血液ガスPaO2:61Torr、PaCO2:139Torr、pH:7.20(FiO2:70%)。安静時一回換気量100~150ml。安静時の呼吸困難度は、Hugh-Jonesの分類:5、修正Borg Scale:8と呼吸困難感の訴え強くリハビリに対する拒否も強かった。ADLは、ほぼ寝たきりの状態でFunctional Independence Measure(以下FIM)53点であった。急変翌日より、サポート圧を一時的に下げた状態での呼吸筋トレーニングを中心に実施し、ICU退室後はベッドサイドでの起居動作及び下肢筋力増強訓練を行った。第70病日目より、アンビューバッグでの換気補助と酸素吸入(O2:10l/分)下での歩行訓練開始となったが、SPO2が容易に80%台に低下し、連続歩行距離は5~10m程が限界であった。第83病日目から人工呼吸器のon-off訓練が開始され、歩行訓練も酸素吹流し(O2:7l/分→5l/分)の状態で可能となり、第100病日頃にはSPO2:90%以上を保ち約170m程度連続歩行可能となった。この時期の所見は、血液ガスPaO2:125Torr、PaCO2:63Torr、pH:7.43(O2:3l)、安静時一回換気量400~500ml、Hugh-Jonesの分類:4、修正Borg Scale:4と各種呼吸機能の改善と共に呼吸困難感の訴えも減少した。ADLではFIM89点と向上が見られた。<BR>【考察・まとめ】<BR> 今回、本症例に対し早期から積極的に筋力増強訓練及び歩行訓練を施行した結果、日常生活動作全般の自立度向上及びウィーニングに繋がり、在宅生活復帰の可能性が見出されるまでに至った。しかし、現状ではご家族の負担が大きく受け入れが厳しい状況となっている為、第179病日目に呼吸器専門病院へ転院し、在宅復帰へ向けての挑戦を続けることとなった。今回の経験から、主治医ならび病棟看護師によるリハビリ中の状態管理及び訓練補助等、チームアプローチを実践できたことも大きな要因であったと考え、多職種で行うチーム医療の重要性を改めて感じた。
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2011 (0), 52-52, 2011
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205624916480
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- NII論文ID
- 130006985132
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可