当院回復期リハビリテーション病棟の退院における現状調査
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説明
【はじめに】<BR> 当院は226の病床数を有し、そのうち2病棟あわせ112床が回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)である。今回、高齢者が比較的多く入院する当院回復期病棟を疾患別に分類し、退院状況を比較検討したのでここに報告する。<BR> 【対象と方法】<BR> 対象は2007年4月から2008年2月の当院回復期病棟1病棟(56床)を退院した症例128名(うち後期高齢者89名)とした。方法は、脳血管疾患、運動器疾患グループに分類し、74歳未満群と75歳以上群(以下後期高齢者群)でそれぞれ、年齢、認知障害、退院時のFunctional Independence Measure(以下FIM)、入院日数、移動能力について統計解析を行い比較検討した。<BR>【結果】<BR> 全体の在宅復帰者は128名中85名で、66%であった。そのうち後期高齢者群は、57%、それ以外は74%と後期高齢者の復帰率は低かった。疾患別内訳として、脳血管疾患74歳未満退院群:13名、平均年齢65歳、平均入院日数100日、FIM平均102点、認知、意識障害者はいなかった。74歳未満非退院群:10名、年齢63歳、入院日数135日、FIM51点、意識障害4名、認知障害4名であった。後期高齢者退院群:15名、年齢83歳、入院日数103日、FIM109点、認知障害5名であった。後期高齢者非退院群:21名、年齢83歳、入院日数129日、FIM39点、認知障害12名、意識障害、高次脳機能障害8名であった。運動器疾患74歳未満退院群:16名、年齢60歳、入院日数61日、FIM123点、認知障害1名であった。後期高齢者退院群:23名、年齢85歳、入院日数90日、FIM104点、認知障害8名であった。後期高齢者非退院群:5名、年齢92歳、入院日数71日、FIM68点、認知障害4名であった。退院群、非退院群、各疾患共に退院時FIMに有意差(p<0.05)を認め、移動能力が変化なく認知障害、遷延性意識障害がある患者様の退院状況、入院日数にも有意差(p<0.01)が認められた。<BR>【考察】<BR> 今回当院回復期病棟では年齢に比例し入院日数が長い傾向になった。その要因としては、重度の認知障害や意識障害、移動能力低下、ADL能力の低下が示唆された。また重症度の高い症例の入院日数も長かった。<BR> 自発動作が無く指示理解が困難な症例に対しどのようにアプローチしていくか憂慮すべきところである。僅かな機能、能力の改善をいかにして日常生活に反映していくか。家に帰りたいと願う症例を程度が重い軽いでなく、病院スタッフが専門性を発揮し、チームとして症例とその家族を導き社会に復帰できるか。社会資源を最大限活用しながら生活環境を整える過程に改善の余地があると考える
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2008 (0), 59-59, 2008
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205624966912
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- NII論文ID
- 130006985179
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可