握力値の違いがもたらす前腕筋群の筋活動特性

  • 岡 大樹
    福岡和白リハビリテーション学院(作業療法学科)
  • 豊島 宇茂
    福岡和白リハビリテーション学院(作業療法学科)
  • 古島 由紀
    福岡和白リハビリテーション学院(理学療法学科)
  • 兒玉 隆之
    福岡和白リハビリテーション学院(理学療法学科)

説明

【目的】<BR> 手関節は手指の巧緻動作に関与するkey-jointであり、手関節の肢位は手指動作や握力発揮に重大な影響を与える。中でも握力と手関節背屈筋の活動の関係については関連性があることが報告されているが、握力値の違いにおける前腕筋群の筋活動については明らかとなっていない。今回、握力値の違いが前腕筋群の筋活動にどのような特性をもたらしているのか検討するため、表面筋電図より積分値を算出し、筋活動量の変化・活動様式について検討した。<BR> 【対象】<BR> 健常男性16名、年齢22.8±5.4歳、全例右利きを対象とした。事前に研究の目的と方法を十分に説明して同意を得た上で測定を実施した。<BR> 【方法】<BR> 測定には筋電計ME6000P8(Mega社製)および握力測定装置アイソフォースGT-300・微小握力センサーGT-315(OG GIKEN製)を用いた。被検筋は長・短橈側手根伸筋(ECR)、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根屈筋(FCR)とし、肢位は端座位で上腕は体側につけ、肘屈曲位(90度)、前腕中間位とし、手関節背屈位(背屈20度)にて固定した。固定装置は、測定肢位がとれる高さの台に設置し、微小握力センサーを前腕肢位が中間位となるよう、また握力発揮時でも動かないよう2枚の板で挟みこむようにし、前腕部の支持は電極部に支障をきたさないよう前腕遠位部(手関節付近)だけとした。測定回数は2回ずつ行い、100%MVCでは1秒間での変動が少ないものを選択した。最大握力発揮時の筋収縮を100%MVCとし、40%・20%・10%MVC時の総筋活動量における3筋の活動比率と3筋における筋活動量の積分筋電図(%IEMG)を算出し比較検討を行った。<BR> 【結果】<BR> χ2検定により3筋の筋活動量の割合を比較した結果、100%・40%・20%・10%MVCの間に有意差を認めず、割合はそれぞれECR45%、ECU47%、FCR8%であった。また、3段階における筋活動量はECR、ECU、FCR間に有意差は認めず、40%MVC 15.7±7.2、20%MVC5.5±3.3、10%MVC1.9±1.6であった。<BR> 【考察】<BR> 今回、握力発揮時手関節背筋群の筋活動量が大きく、握力値の減少率以上に筋活動量の減少が認められた。日常生活で常に使用する手の場合、効率的機能が求められる。握力の回復には筋力以上に効率的な訓練プログラムを考えることが重要である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205625151488
  • NII論文ID
    130006985337
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2008.0.134.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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