要介護高齢者における体幹筋力評価法としての呼吸筋力活用可能性の検討

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  • 最大呼気口腔内圧は腹筋群の客観的筋力評価法として活用できるのか

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【はじめに】<BR>要介護高齢者に体幹屈曲の筋力評価を行う場合、腰痛や脊柱の変形の為、実施するのが困難なケースをよく経験する。今回、我々は努力性呼気筋である腹筋群に着目し、呼気筋力評価法である最大呼気口腔内圧(MEP)が、体幹筋(特に腹筋群)の筋力評価法として活用でるかをパイロットスタディーとして検討した。<BR>【対象と方法】<BR>当院および関連施設でリハビリテーションを行っている要介護高齢者20名(男性10名,女性10名)、平均年齢75.5±9.2歳を対象とした。除外対象は、歩行が不可能な者、研究の主旨が理解できない者、重篤な内科疾患を有する者とした。なお、要介護高齢者とは、介護保険法による要支援、要介護認定を受けている者とした。<BR>測定項目は、呼吸筋力として最大吸気口腔内圧(MIP)、MEP、四肢筋力として握力、大腿四頭筋等尺性最大筋力を測定し、体重で標準化した数値(%MIP、%MEP、%握力、%膝伸展筋力)とした。その他、最大歩行速度、Timed Up and Go Test(TUG)、10秒椅子立ち上がりテスト(CS-10)を測定した。<BR>統計学的分析方法は、%MEPと各々の測定値の関係をPersonの積率相関係数を用いて分析した。%MEPの影響因子はステップワイズ法による重回帰分析を用いて分析した。数値表記は平均値±標準偏差とし、帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とした。解析にはSPSS version 17.0を使用した。<BR>また、本研究は、大学に設置されている研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。<BR>【結果】<BR>%MEPは0.59±0.34であり、%MIPは0.59±0.29、%握力は0.62±0.21、%膝伸展筋力は0.62±0.19、最大歩行速度は0.78±0.45(m/sec)、TUGは18.2±10.3(秒)、CS-10は3.6±1.6回であった。<BR>%MEPは、膝伸展筋力(r=0.60, p=0.005)、最大歩行速度(r=0.68, p=0.002)、TUG(r=-0.50, p=0.036)、CS-10(r=0.62, p=0.004)の間に有意な相関が認められた。<BR>%MEPの影響因子は、%MEP=0.46×最大歩行速度+0.58(R2=0.45 p=0.002)と有意な回帰式が得られた。<BR>【結論】<BR>%MEPと有意な相関が認められた最大歩行速度、TUG、CS-10は、下肢筋力のみでなく体幹筋筋力に影響を受けることが予測される。%MEPが、%膝伸展筋力と相関が得られたことと、これら項目に有意な相関が認められたことから、下肢筋力と同様に%MEPが、体幹筋筋力を反映することが考えられた。%MEPは、客観的体幹筋力評価が難しい要介護高齢者の体幹筋(特に腹筋群)の評価法として活用できることが示唆された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205625439744
  • NII Article ID
    130006985641
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2010.0.386.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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