脳卒中片麻痺患者の体幹,下肢の抗重力伸展活動と歩行の関係

  • 平田 秀則
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部
  • 坂口 重樹
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部
  • 長田 悠路
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部
  • 赤嶺 正哉
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部
  • 岸本 久哲
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部
  • 高野 美智子
    誠愛リハビリテーション病院 リハビリテーション部

書誌事項

タイトル別名
  • ~メジャーとストップウオッチによる計測の検討(第2報)~

説明

【目的】<BR> ヒトの2足直立歩行の獲得は、重力に抗した姿勢(2足直立姿勢)の獲得でもある。我々は第31回九州PTOT合同学会で、維持期脳卒中片麻痺患者における歩行において、立位時の肩甲骨~上肢帯の崩れは歩行スピードに、ステップ時の体幹の崩れは歩幅に影響を及ぼすことを示し発表した。この結果は、上肢帯、体幹の状態が歩行能力に影響を及ぼすことを示唆している。今回は更に研究を進め、立位姿勢時の下肢の状態が歩行に与える影響を簡便な方法にて検討した。<BR>【対象】<BR> 対象は当院にて外来リハビリ治療をおこなっている発症6ヶ月以上経過した脳卒中片麻痺患者(男性11名、女性5名、平均年齢59.2±9.5歳、平均発症期間672.1±604.2日)で、日常生活で屋内杖歩行が自立していることを条件とし、研究の主旨を説明し、同意を得られた者のみ対象とした。尚、今回の研究は当院倫理委員会より承認を受けた後実施した。<BR>【方法】<BR> 両側の下肢長(上前腸骨棘~脛骨内果)を仰臥位、立位でそれぞれメジャーにて計測した。仰臥位での計測値を基準値とし、立位の計測値との差を変化値として表した。10m歩行時間はストップウォッチを使用し裸足にて計測した。左右それぞれの下肢長の変化値と10m杖歩行時間、歩数を比較した。統計処理はspearmanの順位相関係数を用い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】<BR> 背臥位から立位を引いた非麻痺側下肢長の変化値と10m杖歩行時間(14.7±3.6秒)の相関は、r=0.54(p<0.05)で有意な正の相関を認めた。その他に関しては相関を認めなかった。<BR>【考察】<BR> 今回の研究の結果、立位時非麻痺側下肢が伸展している程、歩行スピードが速くなることがわかった。今回、前回の研究結果から維持期脳卒中片麻痺患者の歩行スピードの向上には、立位時の非麻痺下肢の伸展と、麻痺側上肢帯の安定を促すことが重要であることが示唆された。今後この結果に基づいた介入を実施し、介入結果から歩行スピードの向上が期待できるか更に検討していきたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205625505152
  • NII論文ID
    130006985692
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2011.0.118.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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