車椅子座位における、適切な高さで足底接地させた時の座面体圧分散

説明

【はじめに】<BR> 褥瘡予防の観点からもシーティングの重要性は認識されているが、シーティングしやすいモジュラー型車椅子は高価であり、普及しているとは言い難いのが現状である。当院の車椅子を観察してみると、フットレスト(以下、FR)が高く、患者の大腿がシートについてない患者が多く見られた。FRが高く、大腿がシートから浮いていると、大腿部に圧がかからず、臀部に圧が集中してしまう。FRの高さの重要性は述べられているが、どう体圧が分散されるのかという文献は少ない。今回の研究では、手間のかかるFR調節を行わず、FRから足を下ろし、足底の高さを簡易的に台などで適切に調節し大腿にも圧を分散させる(以下、足底高調節とする)と、臀部の体圧がどう変化するのかを調べたので、若干の考察を加え報告する。<BR>【目的】<BR> FRから足を下ろし、適切な高さに足底接地させた時の体圧分散を明らかにする。<BR>【方法】<BR> 被験者は1日に車椅子に一時間以上座る機会のある患者。座位保持に関して問題のある患者(自力で除圧できない、長時間座位を保つ事ができないなど)で当院に入院している患者計7名。<BR>【測定方法】<BR> 測定機器は体圧分散器FSA(タカノ株式会社)を用いた。臀部にかかっている最大圧力(最高圧力値200mmHg)と臀部全体の平均の圧である平均圧力、測定器のシートに接地している範囲を測定する感知センサー数を測定した。<BR>【座位姿勢】<BR> 臀部を後方から引き、深く座らせ、一般的に理想的とされている股・膝・足関節が90度での座位。手順 1.日常使用している車椅子の座面の上に、体圧分散器のシートを敷き測定。日常、クッション等を使用している場合はクッションの上にシートを敷いた。2.日常使用している車椅子のまま、FRから足を下ろし、足底に台を置いてから測定。ただし、台の高さは股・膝・足関節が90度になる様な高さで、なおかつ、座面の先端と大腿遠位部の間に指を入れると軽く圧を感じる程度とした。台は約2.5cmの厚さの雑誌を1~数冊束ねたもので一番適している高さのものを選択した。<BR>【結果】<BR> 最大圧力は7人中5人が減少していた。最大圧力が変化していないCとEも平均圧力は減少し、感知センサー数は増加していた。平均圧力は全員減少していた。感知センサー数は7人中6人増加していた。増加していないFも122個から120個と2個の差である。最大圧力の全員の平均は114mmHgから89mmHgへと減少し、平均圧力の全員の平均は18.7mmHgから、12.6mmHgへと減少した。感知センサー数の平均は94から126へと増加した。<BR>【考察】<BR> 今回、足底高調節時の体圧がどの様に変化するかを研究した。結果より、最大圧力、平均圧力の全員の平均は減少し、感知センサー数の平均も増加した。FRから足を下ろす事によって、膝関節の位置が座面に近くなる。それにより、大腿部が座面に接する部分が増える。それは、感知センサー数が増えた事が証明している。そして、大腿部が多く接する事により、大腿部にも圧が移行し、臀部の最大圧力、平均圧力が低下したと考えられる。したがって、足底高調節する事で圧を分散させる事は褥瘡予防の観点からも効果があると考える。しかし、2名の被験者においては最大圧力が変化していなかった。(測定器の最高値のまま)それは、2名とも男性で体重も重く、足底高調節だけでは分散できなかった為と考えられる。そこで、この2名に対し、低反発クッションを使用した所、C・Eそれぞれ最大圧力が200mmHgから54mmHg,33 mmHgとなり体圧を分散できた。したがって、体重の重い患者に対しては足底高調節のみでは対応しきれないと考える。今後は被験者数を増やしていきたい。<BR>【まとめ】足底高調節する事で体圧を分散する事ができる。体重の重い患者では足底高調節だけでは対応しきれない。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205625685888
  • NII論文ID
    130006985879
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2004.0.102.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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