日本人一般母集団に見出された薬物動態関連遺伝子のSNPによるcytochrome P450活性への影響

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抄録

[目的] ファルマスニップコンソーシアムが実施した日本人における薬物動態関連遺伝子多型に関する研究の一環として、cytochrome P450 (CYP)活性におけるSNP(一塩基置換遺伝子多型)の影響を調べた。CYP1A2及びCYP2A6のそれぞれの変異体、CYP1A2(Gln478His)、CYP2A6 (Glu419Asp)とCYP2A6*7(Ile471Thr) を作製し、これらのアミノ酸変異のCYP酵素活性に及ぼす影響をCYP分子種の標準基質を用いて調べた。また、既知SNPのひとつであるCYP3A4*2 (Ser222Pro)についても同様にCYP3A4との活性比較を行った。 [方法] それぞれの変異体は、Site-directed mutagenesis により、野生型CYPにアミノ酸変異を導入して作製した。3A4及び3A4*2 (Ser222Pro)はバキュロウイルスを用い、昆虫細胞で発現させた。また、CYP1A2 とCYP1A2 (Gln478His)、CYP2A6と2A6(Glu419Asp)、CYP2A6*7(Ile471Thr)は大腸菌で発現させた。それぞれのCYPを精製し、NADPH-P450還元酵素、脂質等を含む再構成系により活性の比較を行った。CYP3A4はテストステロン6-位水酸化及びニフェジピン酸化、CYP1A2は7-エトキシレゾルフィン脱エチル化、CYP2A6はクマリン7-位水酸化の活性を測定した。参加企業が同一精製酵素、基質を用い、統一プロトコールに従って活性測定を行い、データを統計的に解析した。 [結果] CYP3A4及び 3A4*2(Ser222Pro)では、テストステロン6-位水酸化、ニフェジピン酸化の活性においてKmに有意な差はなく、3A4*2 (Ser222Pro) のVmax/Kmは野生型に比べ僅かに低下していた(p<0.001)。CYP1A2 およびその変異体CYP1A2(Gln478His)では、7-エトキシレゾルフィン脱エチル化の活性における変異体のVmax/Kmは、野生型に比べ約10%低下していた(p=0.0116)。CYP2A6及び CYP2A6 (Glu419Asp)では、クマリン7-位水酸化活性に変化は認められなかった。一方、CYP2A6*7 (Ile471Thr)において、クマリン7-位水酸化活性は野生型の持つ活性の約15%であり、これまで報告されているように酵素活性が減少することが確かめられた。また、複数の施設で活性測定を実施したが、施設間、施設内でのデータに大きなバラツキが認められた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626021888
  • NII論文ID
    130006986200
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.116.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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