肝外臓器を主要発現組織とするヒトCYP分子種の発現系構築

説明

【目的】近年,小腸での吸収過程における代謝が薬物動態に大きく寄与していることが明らかとなり注目されている.肝外組織におけるCYPの発現プロフィルは肝臓と一致しない場合があり,任意の臓器で特徴的に発現の高い分子種が存在する.それら分子種の生理学的・薬物代謝学的意義が殆ど解明されていない原因として発現系が市販されていないことが挙げられる.そこで,本研究では肝外臓器に発現するCYPの発現系構築を試みた.【方法】ヒト肝組織より総RNAを調製し,CYP2F1およびCYP2J2 翻訳領域全長のcDNAをPCRで単離した.塩基配列確認後,pFastBac DUAL 発現ベクターのp10プロモーター下流にそれぞれ挿入した.一方,ポリヘドリンプロモーター下流にはヒトNADPH-CYP還元酵素(fp2)のcDNAを挿入した。これらをバキュロウイルスのDNAにトランスポジションし,作製したウイルスを感染させた昆虫細胞でCYP発現の有無を確認した.【結果・考察】CYP2F1発現系では,CYP2F1抗ペプチド抗体を用いたWestern blottingにより陽性対照と同じ約55kDaに免疫交差する蛋白質の発現が認められた.本酵素の基質である3-メチルインドールを用いてN-アセチルシステイン(NAC)存在下で反応を行ったところ,予想代謝物のNAC抱合体が検出されたが,その量は僅かであった. CYP2J2発現系では,抗CYP2J2抗体を用いた免疫化学的検討より,陽性対照のヒト小腸ミクロゾームと同一分子量の約57kDaに蛋白質の発現が確認された.エバスチンを基質として酵素活性を測定したところ,水酸化体が検出されたが,その活性値は0.543 pmol/mgと極めて僅かであった.両発現系ともfp2は良好に発現しており,今後CYPの至適発現条件の検討が必要であると考えられた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626134400
  • NII論文ID
    130006986262
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.188.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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