塩酸誘発間質性膀胱炎モデルラットにおけるIPD-1151Tの体内動態

説明

IPD-1151T(トシル酸スプラタスト)は現在,間質性膀胱炎(主訴:尿意切迫感,頻尿,下腹部疼痛等)を対象にして開発が進められている.塩酸を膀胱内に注入して作製した膀胱炎モデルラット(塩酸誘発間質性膀胱炎モデル,以下model群)にIPD-1151Tを反復経口投与した場合,cystometry method(膀胱内に生理食塩液を持続注入)で得られた膀胱内圧及び排尿モニターの波形をcontrolに比べて明らかに改善させた.また,排尿間隔の有意な延長,1回排尿量の有意な増加をもたらした.そこで,今回,model群及び塩酸の代わりに生理食塩液を膀胱内注入して作製したラット(以下sham群)にIPD-1151Tを100mg/kgで単回経口投与し,両群(それぞれn=5)の血漿中・尿中及び膀胱内濃度を比較した. 血漿中IPD-1151T濃度はmodel群・sham群共に投与後1hrにtmaxに達し,約4_から_5hrのt1/2で消失した.また,血漿中での主代謝物であるM-1は両群共に投与後4hrにtmaxに達し,それぞれ約5_から_6hrのt1/2で消失した.IPD-1151T及びM-1のCmax及びAUC(0-24hr)は両群でほぼ同様の値となった.膀胱内IPD-1151T濃度は両群共に投与後1_から_2hrにtmaxに達し,約4_から_5hrのt1/2で消失した.Cmax及びAUC(0-24hr)の平均値はmodel群で若干高くなった.IPD-1151Tの膀胱内移行性は良好で,投与後2_から_8hrのT/P(組織内濃度・血漿中濃度比)値は両群共に5_から_15であった.M-1の移行性は小さかった.尿試料は投与後6hr,12hr及び24hrまでの蓄尿とした.投与後24hrまでの累積尿量,IPD-1151Tの累積尿中排泄率(約2%),投与後6hr,12hr及び24hrまでの蓄尿中のIPD-1151Tの濃度に大きな差はなかった.投与後6hrまでの蓄尿中の濃度は,model群で207nM,sham群で186nMであった. これらのことを考慮すると,model群とsham群にIPD-1151Tを経口投与した場合,全身曝露量,尿中排泄挙動には大きな差はみられないと考えられた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626220288
  • NII論文ID
    130006986324
  • DOI
    10.14896/jssxmeeting.18.0.218.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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