脊椎脊髄外科治療センターでの麻痺患者への離床活動、褥瘡対策へのチーム医療としての取り組みと実績

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抄録

<p>【緒言】</p><p>当院には,脊椎脊髄疾患を加療するために脊椎脊髄外科治療センターがある.主に脊髄損傷,脊髄梗塞,脊髄腫瘍,脊椎椎体骨折,脊髄変性疾患等の患者を入院加療をしている.また,麻痺を呈した患者が入院加療をすることもある.今回我々は,2013年7月から2016年2月までの期間に入院加療となった2078名に対して離床スケジュールを使用した早期離床,褥瘡対策を実施した.その内,麻痺患者は153名であった.結果,早期からのADL向上,褥瘡発生件数0件に成功したため報告する.</p><p>【取り組み内容】</p><p>麻痺患者の入院加療の際に早期より離床スケジュールの作成,排尿排便障害患者のトイレ誘導時間設定,褥瘡予防ベッドマットやクッションの使用,リハビリサイドから看護師サイドへの移乗動作やポジショニング指導等をチーム医療として行っている.離床スケジュールを作成する際に患者の全身状態,耐久性,合併症等の有無を含めカンファレンスを実施している.離床スケジュールではリハビリ時間,看護師サイドでの離床時間帯,臥床時間帯,排尿排便障害の生じている患者にはトイレ誘導時間設定等を決めている.離床は状態に応じて長時間行えるように計画している.離床スケジュール実施と並行してリハビリでは可能な範囲にて車椅子自走訓練,看護師への移乗方法の伝達,患者に合ったベッドマットやクッションの選択を実施している.看護師サイドではリハビリより伝達のあった移乗動作方法等の伝達を病棟看護師全員にしている.車椅子自走自立,離床時間の延長が可能になった患者には移乗動作のみ介助にて行い,病棟での車椅子移動自立を可能にしている.</p><p>【結果】</p><p>前述の様な取り組みをすることで早期からのADL向上,褥瘡発生件数を0件にできたと考える.</p><p>【考察】</p><p>早期からカンファレンスを実施するメリットとしてチームでの患者状態の把握,体動困難な患者の場合はポジショニングの統一を可能にすることである.ポジショニングに関しては、写真撮影を行い伝達ミスがないようにしている.移乗動作等をリハビリサイドから看護師サイドへ伝達することで移乗時の転倒予防にも繋がったと考える.麻痺患者は障害受容の段階にてメンタル面の低下がみられる.早期から離床時間の延長や車椅子自走自立を可能にすることで患者のモチベーションの維持,向上を促せたと考える.維持,向上することで麻痺患者の意欲低下を防止し,早期からのADL向上ができたと考える.長時間座位時の褥瘡予防としてロホクッションを使用している.ロホクッションは一般的にも除圧効果が高いといわれており,感覚障害のある麻痺患者には有効であると考え使用している.長時間座位時のプッシュアップ指導も患者本人にしっかりと行っている.排尿排便障害を呈した患者に対して早期からのトイレ誘導を実施している.排尿排便障害を呈した患者は尿意や便意を感じることができないケースが多いため,その際はこちらが時間設定して誘導するようにしている.時間設定をして誘導する目的としては,日課にすることで排尿排便に対しての意識を持ちやすくする為である.実際のトイレに行くことで環境刺激にもなり,排尿排便障害の改善に繋がる可能性があると考えている.このような早期からのADLに対するアプローチ,メンタル面に対するフォローは回復期リハビリテーション病院に転院する際にも役立っていくと考えている.</p><p>【まとめ】</p><p>このような患者達にはチーム医療は大変重要である.今後も様々な取り組みを行っていきチーム医療の質の向上を目指していく.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>倫理的配慮をしており,発表の同意を得た.利益相反なし.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626319360
  • NII論文ID
    130005175418
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2016.0_34
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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