当院整形外科病棟における病棟訓練・ADL指導の取り組み
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【はじめに】<BR> 早期退院、自宅復帰を目指すためには急性期からADL能力向上に向けたチームアプローチが必要となる。合わせて、特に高齢者では、病棟での活動が乏しく、リハビリに対しても受動的な傾向が高い為、廃用症候群の予防や“リハビリは自分で行う”という意識付けも重要となってくる。<BR>今回、ADL能力向上、廃用症候群予防に向けた当院急性期整形外科病棟の取り組みをここに紹介する。<BR>【施設紹介】<BR>整形外科病棟:40床<BR>平成16年度 整形外科病棟実績<BR>平均在院日数:25、5日 稼働率:98、8%<BR>延入院患者数:14、418人 手術件数314件<BR>【病棟訓練への取り組み】<BR>当院では3週間パスを導入し早期退院に向けチームアプローチを展開している。しかし高齢者が多いということもあり、セラピストによる機能訓練時以外での活動性が乏しい症例が多数認められ、病棟における活動量の改善が急務として挙げられた。その対応策として病棟訓練の充実などが考えられたが、セラピストが一人の患者様に関わる時間にも限りがあり、リスク管理の必要もあることから、病棟看護師の働きかけが不可欠であると判断した。そこで病棟訓練メニューや日々のリハビリの進捗状況を記載したリハビリ連絡票を患者様一人一人に作成し、リアルタイムで情報交換を行い、それに基づき看護師が病棟訓練を行うようにした。病棟訓練の内容や実施状況については、廻診の際に担当医師と共に患者様を交え、妥当性の確認を行っている。<BR>【ADLへの取り組み】<BR>当院でも「出来るADL」と「しているADL」の解離を埋めるため独自のADL評価表をエクセルにて作成。ADLの実行状況に問題があると判断した患者様のADL評価を最低でも週一回実施するようにし、リハビリ連絡表と合わせて活用、可能な限り「出来るADL」が実行できるよう働きかけを行っている。評価は「出来るADL」をリハスタッフが、「しているADL」を看護スタッフがパソコンに入力。院内電子メールを利用して情報を共有している。<BR>【結果】<BR>リハビリ連絡表導入の効果として<BR>・患者様が病棟訓練や「出来るADL」の実施に積極的に取り組むようになった。<BR>・患者様の状態に合わせた病棟訓練方法を立案することでリスクが少なく、個別性の高い病棟訓練が実施出来るようになった。<BR>・セラピストによる訓練時間以外にも患者様の活動時間が確保でき、廃用症候群の予防に役立った。<BR>・看護師が病棟リハビリの必要性や自らの役割を認識し、積極的に取り組むようになった。<BR>ADL評価表導入の効果として<BR>・患者様のADL能力の到達度や病棟での実施状況がより具体的に把握できるようになった。<BR>・ADLについての情報収集が容易になった。<BR>【課題】<BR>・急性期病棟で手術なども多いため看護師が病棟訓練にかけられる時間が限られている。<BR>・入力端末が少なく、パソコン操作に不慣れな場合時間が掛かる。また通常業務で多忙なため入力する時間がない。<BR>・設備の問題で”出来るADL”が病棟で実施できない場合がある。<BR>【考察】<BR>入退院や手術などが非常に多い急性期病棟では、カンファレンスや病棟廻診だけではリアルタイムでの情報交換が困難な場合が多く、当院においても、より効率的な情報交換手段を模索している状況である。<BR>また設備面で患者様の身体機能が十分に引き出せない環境においては、廃用症候群を予防するための働きかけも非常に重要となる。その為、各種訓練方法や介助方法などの勉強会を開催し、看護師も病棟訓練を指導出来るように努力しているが、患者様一人一人に関わる時間にも限りがあり、看護師への負担が非常に大きなものとなっている。より効率的で、安全に実施できる病棟訓練方法を検討していくことも今後の課題の1つである。今回の取り組みでは、患者様に関しての情報をチームがリアルタイムで共有し、一丸となって病棟訓練や「出来るADL」の指導などを行うことで患者様のリハビリに対する意識改革に特に効果が得られた。今後も患者様と関わる時間を有効に使い、ADL支援を適切に実施できるシステムを作り、患者様にとって「提供されるリハビリ」から「自分も参加するリハビリ」へ、いわゆる患者様参画型のチーム医療を目指し、努力していきたい。<BR>
収録刊行物
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- 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 2005 (0), 128-128, 2005
九州理学療法士・作業療法士合同学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205626360064
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- NII論文ID
- 130006986458
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- ISSN
- 24238899
- 09152032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可