外反母趾患者の歩行分析-第二報-

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抄録

【はじめに】我々は第26回PT・OT合同学会にて外反母趾患者の足底圧分布の特徴とM1M2角、HV角との関係を報告した。外反母趾患者の歩行観察上、後足部から前足部への荷重移行に特徴があると思われる。動的な状態での足底圧分析が可能な足圧分布測定システム(F-Scan)を用いて、外反母趾患者の歩行中の足底圧の分析を前足部と後足部に分けて行い、健常者と比較することで外反母趾患者の歩行の一特徴が得られたので報告する。<BR>【対象】当院整形外科にて外反母趾と診断された(以下HV群)女性21例42足、平均年齢45.9±19.4歳。対照群として足部に特に障害の無い健常人(以下健常群)女性14例28足、平均年齢33.7±7.9歳<BR>【方法】F-Scanを用い、硬い平坦な床上を約7m自然歩行してもらった。そのうちの3歩行周期分の足底圧を検出した。足底圧の評価は後足部(踵部)と前足部(踵部以外)に分け、それぞれ荷重圧(kgf/cm2)と荷重時間(sec)の積分値を求めた。それぞれの積分値を足底全体の積分値で除した比率値(以下積分比率値)を求め比較した。また立脚期の内、踵接地から踵離地までの相対的時間を%で算出(Heel Contact Phase以下HCP)し、それぞれHV群と健常群で比較した。またHV群においては外反母趾角(以下HV角)第1・2中足骨間角(以下M1M2角)を求めた。統計処理は2群間の比較にはMann-WhitneeのU検定を、相関関係にはFisherのrのz変換を用いた。<BR>【結果】前足部の積分比率値について、HV群66.4±9.38、健常群61.9±5.7で有意にHV群が高かった(p<0.01)。後足部の積分比率値について、HV群33.5±9.4、健常群37.8±5.9でありHV群が有意に低かった(p<0.01)。HCPについてHV群62.1±9.4、健常群68.9±8.3であり、HV群の方が有意に短かった(p<0.01)。HV群に対しHCPと前足部の積分比率値、HV角、M1M2角との相関関係を求めた所、前足部とに負の相関(r=-0.615、p<0.01)、HV角と(r=0.275、p<0.01)M1M2角 (r=0.296、p<0.01) に正の相関を認めた。またHV角と前足部の積分比率値についても負の相関(r=-0.222、p<0.01)を認めた。<BR>【考察】HV群の方がHCPは短く、さらに前足部の積分比率値が高いという事は歩行中、前足部で受けるストレスが高い事を示している。横アーチの低下や母趾のアライメントにより前方へ体重移動しやすい環境になっているのではないかと推察しHCPとM1M2角、HV角との相関を求めた。しかし共に正の相関関係が認められた。HCPをHV群と健常群とで比べるとHV群が短いが、HV群に於てはHV角やM1M2角が強い程HCPは長くなり後足部にかかる荷重が増加していた。今後、胼胝やバニオンによる疼痛との関連性を検討していきたい。また踵骨の荷重時間の短縮については踵骨のアライメントとの関連性を検討していきたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626442240
  • NII論文ID
    130006986554
  • DOI
    10.11496/kyushuptot.2005.0.107.0
  • ISSN
    24238899
    09152032
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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