トランスクリプトームおよびメタボローム解析による凍結保存シロイヌナズナ培養細胞の評価

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タイトル別名
  • Transcriptome and metabolome analyses to estimate differences between pre- and post-cryopreserved cells of <I>Arabidopsis thaliana</I>

抄録

本研究チームで作出した多数のシロイヌナズナ形質転換細胞系統を維持するために、アルギン酸ビーズを用いた凍結保存法を開発した(2004年度年会)。凍結保存を行った細胞を解析対象とする上で、本法が遺伝子発現および代謝産物の蓄積に与える影響を調べる必要があり、トランスクリプトームおよびメタボローム解析による評価を行った。<br>独立に凍結保存を行った3系統で、凍結前の細胞と凍結保存後に4回継代した後の細胞を、マイクロアレイ(Agilent社、21500プローブ)により比較した。2倍以上の変動が見られた遺伝子は、各248, 254, 345個であり、非凍結保存細胞による2回のセルフ実験(52, 70個)よりも変動が大きかった。また、3実験に共通して検出された遺伝子は46個であり、2回のセルフ実験(共通4個)よりも高確率であった。その注釈付けからは特に共通した機能分類は見つからなかったが、糖転移酵素、ホルモン合成系酵素、タンパク質リン酸化酵素などの他、PRタンパク質や転写因子なども見られた。ガスクロマトグラフ質量分析計を用いたメタボローム比較では、凍結保存前後の細胞で少数の代謝産物に変動が見られた。以上の結果から、本凍結保存法では何らかの遺伝子発現変動およびそれに伴う代謝産物の変化が生じていることが判明した。これらの知見を考慮することにより、凍結保存細胞を用いた解析結果を評価することが可能である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626559232
  • NII論文ID
    130006986632
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.146.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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