糖欠乏により誘導されるシロイヌナズナの細胞壁型グリコシダーゼの生理機能

DOI
  • 李 銀禎
    奈良先端科学技術大学院大学<br>遺伝子教育研究センター
  • 佐野 浩
    奈良先端科学技術大学院大学<br>遺伝子教育研究センター
  • 小泉 望
    奈良先端科学技術大学院大学<br>遺伝子教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Function of apoplastic glycosyl hydrolases induced by sugar starvation in Arabidpsis

抄録

炭水化物の合成・分解に関する理解を深めるためにシロイヌナズナを用いて糖により制御される遺伝子のトランスクリプトーム解析をおこなった。糖欠乏により誘導される遺伝子産物のうちβ-galactosidase, β-xylosidasおよびβ-glucosidaseに着目しGAL、XYLおよびGLUと便宜的に命名した。これらは、いずれも多糖の加水分解に働くグリコシダーゼ・ファミリーに属し、シグナルペプチドを有する。GALはナシの果実の熟成に伴い活性が増加するβ-galactosidaseと95%以上の相同性を示す。これらのことから、GAL、XYL、GLUは糖欠乏により分泌され細胞壁多糖からの単糖の遊離に関るという仮説を立てた。培養細胞を用いた実験でも培養液から糖を除くと、培養液中のこれらグリコシダーゼ活性が上昇した。またGUSレポーター遺伝子を用いた実験では葉の遮光した部分でGALのプロモーター活性の顕著な上昇が見られ、植物体を暗所に置くとGALタンパク質が細胞壁画分に蓄積したことから、光合成の阻害によりGALタンパク質が細胞壁へと分泌されることが示された。さらに、切り取り葉を暗所におき細胞壁多糖量の変動を調べたところ、糖添加区と比べてペクチン、ヘミセルロースなどが減少した。以上の結果から、光合成阻害などによる糖欠乏に伴い、細胞壁多糖が炭素源として利用されることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205626592256
  • NII論文ID
    130006986676
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.161.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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