シロイヌナズナBOR1の過剰発現によるホウ素栄養生育特性の改善

DOI
  • 三輪 京子
    東京大・生物生産工学研究センター 東大・院・農
  • 高野 順平
    東京大・生物生産工学研究センター
  • 藤原 徹
    東京大・生物生産工学研究センター 科学技術振興機構

書誌事項

タイトル別名
  • Improvement of growth and fertility of transgenic plants overexpressing Arabidopsis thaliana BOR1 under B-limitation

抄録

ホウ素は環境中に遍在しており、ホウ素含量の低い土壌や高い土壌ではホウ素の欠乏や過剰障害が問題となっている。シロイヌナズナのホウ素トランスポーターBOR1は地上部への効率的なホウ素輸送を担う分子である。BOR1は排出型のホウ素トランスポーターであり、酵母で発現させると酵母の細胞内ホウ素濃度を低下させ、高濃度のホウ素存在下での増殖が改善する。BOR1を用いて植物のホウ素栄養特性を改善する目的で、カリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーターにBOR1cDNAを連結し、シロイヌナズナに導入した。導入した複数の形質転換植物について、ホウ素過剰に対する生育特性を非形質転換体と比較したところ、明瞭な改善は認められなかった。BOR1の蓄積はホウ素栄養条件によって制御されており、形質転換植物においても、高濃度のホウ素にさらすことで、BOR1タンパク質が分解したためであると考えられる。一方、ホウ素欠乏に対する生育特性は顕著に改善しており、生育および稔実性に改善が見られた。この原因としては、BOR1 の本来の役割である地上部へのホウ素輸送の強化に加え、シロイヌナズナに存在する6つのBOR1相同遺伝子の役割を強化している可能性が考えられる。同様の方法によって、作物のホウ素栄養特性を改善することが期待される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205627993472
  • NII論文ID
    130006988303
  • DOI
    10.14841/jspp.2005.0.236.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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