蚕へのディフェンシン遺伝子導入の試み

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction of antibacterial protein gene into the commercial silkworm race.

説明

安価な外国産の繭や生糸に対抗し、養蚕業の維持発展と活性化を図るには、単に外国産との差別化だけでなく、新たな分野で生糸の消費拡大をもたらす画期的な蚕品種の育成が急務となっている。蚕への外来遺伝子の導入法として、休眠性を一時的に変化させた非休眠卵を用いることによって、遺伝子の導入が可能であることを前大会で報告した。この技術を用いれば、実用形質の高いそのまま利用できる蚕品種に直接有用な外来遺伝子を導入することができる。そのため、演者らは抗菌性生糸を生産する新蚕品種の作出を目的に、実用蚕品種の原種へディフェンシン遺伝子の導入を試みた。セリシン遺伝子の上流をプロモーターとするディフェンシン遺伝子を緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をマーカーとするベクターに挿入し、このプラスミドと転移酵素を発現させる機能のあるヘルパーを同時に非休眠化させた「200」の卵に注射し、ふ化した幼虫を飼育して次世代の幼虫を調べた。実体蛍光顕微鏡による観察の結果、マーカーとしたGFPによる蛍光を発する個体がいくつかの蛾区から出現した。この蛍光を発する個体からDNAを抽出し、サザンにより調べたところ導入遺伝子の存在が確認された。しかしながら、ノーザンにおいては非常に薄いバンドしか検出されず、ウェスタンブロッティングでもディフェンシンを同定することは出来なかった。このため、今後はプロモーターを改良した新しいベクターを構築し、この遺伝子を導入した形質転換蚕を作出する予定である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205628680448
  • NII論文ID
    130006989090
  • DOI
    10.11416/jsss.jsss72.0.31.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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