シロイヌナズナの光形態形成時における子葉でのクロロフィル合成に対する植物ホルモンの役割

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タイトル別名
  • Hormonal Regulation of Chlorophyll Biosynthesis in Arabidopsis Cotyledons during Photomorphogenesis

抄録

被子植物は暗所では黄化芽生えとして発達し、光を感知すると葉緑体の発達を開始する。この発達時に起こる重要なステップの一つがクロロフィル合成である。クロロフィルやその前駆体は光酸化作用をもっているため、その合成は転写、翻訳、酵素の活性化の各段階で様々な制御を受けている。我々は昨年の本会で、根でのクロロフィル合成にサイトカイニンとオーキシンがそれぞれ促進的、抑制的に働いていることを報告した。この結果は、クロロフィル合成は組織分化と協調した形で、これらの植物ホルモンによって厳密に制御されていることを示している。そこで本研究では、光照射時におこる形態変化と子葉でのクロロフィル合成におけるこれらのホルモンの関与を調べた。変異体解析から、オーキシンシグナル変異体であるaxr2shy2slrでは光形態形成時のクロロフィル量が増加するのに対し、サイトカイニンレセプター変異体のahk2ahk3では反対に大きく減少することが分かった。これらの結果は、光形態形成時のクロロフィル合成に関しても、オーキシンシグナルが抑制的に働くのに対し、サイトカイニンは促進的に作用することを示している。これらのホルモンは、光シグナルを介した胚軸の伸長抑制など、形態的な発達も制御していることが知られており、オーキシン/サイトカイニンシグナルは、光形態形成とクロロフィル合成の協調的な制御に関与していると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205630222848
  • NII論文ID
    130006990837
  • DOI
    10.14841/jspp.2009.0.0561.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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