オオムギ染色体導入コムギのオミクス研究

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タイトル別名
  • Integrated Omics Research for Barley Chromosome Addition Lines of Common Wheat

抄録

コムギは、その交雑親和性が高い性質により、倍数性で進化してきたことを特徴とする。倍数体は単なるゲノムの加算ではなく、高次の制御機構がはたらいている。制御システムには、ジェネティックなものとエピジェネティックなものがある。例えば、小麦粉の加工適性に関わる貯蔵タンパク質の成分が倍数体になることによって質的・量的に劇的に変化する。一言でいえば2倍体コムギの粉でパンは焼けない。一方、オオムギの種子にはコムギにはない健康食品としての注目される種々の成分が含まれる。従来の交雑育種法で、オオムギの7対の染色体、それぞれ1対ずつコムギに添加した系統が育成されている。これらのオオムギ染色体を導入したパンコムギの統合オミクス研究により、ゲノム間相互作用により産生される新規機能性物質を同定し、その代謝経路を明らかにして健康食品として応用するプロジェクトをスタートさせた。異質6倍体であるパンコムギにおける発現遺伝子(EST)の大量解析により、予測遺伝子の約90%以上の遺伝子を登載したオリゴDNAマイクロアレイをはじめとする機能ゲノム科学を行う基本ツールを整備した。異種ゲノム間の相互作用により影響をうける種子成分中に含まれるタンパク質、多糖類、フラボノイド類、ステロイド類、ミネラル類などの機能性物質を統合的に解析し、応用へ展開するコムギ研究の現状を紹介する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205631269120
  • NII論文ID
    130006992387
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.s0053.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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