キュウリモザイクウイルス黄斑系統に対する抵抗性強度の異なるシロイヌナズナ系統の代謝プロファイリング

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タイトル別名
  • Metabolic Profiling of Two Resistant <I>Arabidopsis thaliana</I> Lines Infected with Cucumber mosaic virus

抄録

植物の病原微生物に対する応答の研究は、サリチル酸等少数のシグナル物質による制御系を中心に進んでいるが、他の代謝物による未知の制御系の存在を示唆する報告も多い。しかしながら、植物の防御応答時の代謝物変化を包括的に調べた例は少ない。そこで我々は、細胞死により病原体を感染部位周辺に局在化させるHR誘導時の代謝物変化を把握するために、2種類の強度の異なる抵抗性系統を用いて代謝プロファイルの比較を試みた。<br> キュウリモザイクウイルス黄斑系統[CMV(Y)]はシロイヌナズナCol-0に全身感染する。Col-0に抵抗性遺伝子RCY1を導入することで、HRを伴う抵抗性を示す系統(HR系統)、細胞死を伴わずに抵抗性を示す系統(ER系統)を得た。各系統にCMV接種し、24時間後の接種葉をUPLC-TOF-MSを用いて分析し、主成分分析を行った。接種区と、傷のみ与えたmock接種区との比較から、Col-0およびHR系統では全代謝物プロファイルに処理区間での差が認められ、この差はCol-0でより顕著であった。一方、ER系統では処理区間で違いが認められなかった。これは、抵抗性の強度に依存して代謝物変化の程度に違いがあることを示している。また、処理前の植物体ではER系統のみ他の2系統と異なる代謝プロファイルを示した。これは、ER系統が平常時から抵抗性に関連する代謝物を蓄積していることを示唆すると考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205631668480
  • NII論文ID
    130006992979
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0137.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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