ローリングサークル型トランスポゾンとソライロアサガオの白花変異

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タイトル別名
  • Spontaneous Mutations Caused by a <i>Helitron</i> Transposon, <i>Hel-It1</i>, in <i>Ipomoea tricolor</i>

抄録

2001年にはじめて報告されたヘリトロンは、真核生物のローリングサークル型トランスポゾンである。他のDNA型トランスポゾンと異なり末端逆反復配列を持たず、自律性因子は複製開始タンパク質のnuclease/ligaseドメインとDNAヘリケース・ドメインを持つRep/Hel転移酵素をコードすると予測されている。さらに植物のヘリトロンは、複製タンパク質AのサブユニットであるRPA70に類似したRPA転移酵素もコードする。多くの植物ゲノム中に大量に存在するが、活性のある自律性ヘリトロンや転移機構は未解明である。<br> ソライロアサガオの栽培品種である”Pearly Gates”は、1940年頃に分離された白花変異「pearly-s」を持つ。このpearly-sは、アントシアニン色素生合成系のDFR遺伝子にHel-It1と命名したヘリトロンが挿入した変異であった。さらに一部のpearly-s変異体では、ミトコンドリア・リン酸輸送体遺伝子にもHel-It1が挿入していた。またHel-It1とその類縁因子はゲノム中に30コピーほど散在し、挿入位置が品種間で異なることも示唆された。Hel-It1は、Rep/Hel転移酵素とRPA転移酵素の遺伝子領域に、それぞれナンセンス変異とフレームシフト変異を持つ非自律性因子であったが、野生型のPRA転移酵素をコードすると思われるフレームシフト変異のないmRNAもpearly-s変異体には蓄積していた。以上の結果をもとにHel-It1の転移活性と、その自律性因子について議論する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205632047872
  • NII論文ID
    130006993533
  • DOI
    10.14841/jspp.2007.0.544.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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