菌根誘導型アンモニウムトランスポーターの機能と分子進化

書誌事項

タイトル別名
  • Ammonium transporters in arbuscular mycorrhizal symbiosis

説明

植物の8割はアーバスキュラー菌根(AM)菌と共生する。AM菌が皮層細胞内に侵入すると菌糸が分枝してアーバスキュールを形成する。そこで菌糸は植物由来のペリアーバスキュール膜(PAM)で包まれ、例えば土壌から運ばれたリン酸はPAM局在のリン酸トランスポーター(PT)により植物に取り込まれる。我々はAM菌を介した窒素養分の吸収機構を調べるために、ダイズのゲノムから16分子のアンモニウムトランスポーター(AMT)遺伝子を見いだし、さらに菌根誘導型GmAMT4.1を特定した。GmAMT4.1プロモーターGUSの発現はアーバスキュールを含む細胞にのみ見られた。またGmAMT4.1-GFPはPAMに局在し、PAM以外の菌糸を包む膜や細胞膜には蓄積しなかった。この局在様式は菌根特異的PTと酷似しており、菌根におけるアンモニウムの取り込みもリン酸と同じくPAMで行われることが示唆された。また種々のAMTsのアミノ酸配列から進化系統樹を作製すると、GmAMT4.1はAMTのクレード4に属し、AM菌と共生しないアブラナ科植物にはこのクレードは見当たらなかった。したがってクレード4のAMTsはAM菌からのアンモニウムの取り込みに重要な働きを持つ可能性がある。ポプラでは14分子中5分子、ダイズでも16分子中6分子がクレード4であった。AMTsの分子進化と菌根共生の関わりについても議論したい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205632223488
  • NII論文ID
    130006993802
  • DOI
    10.14841/jspp.2010.0.0950.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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