シロイヌナズナの気孔形成におけるABAの作用について

書誌事項

タイトル別名
  • Abscisic acid affects on stomatal development in <I>Arabidopsis thaliana</I>

説明

植物の蒸散は主に葉の表面に存在する気孔を通して行われ、その開閉には種々のシグナル伝達物質が関わっている。また、植物個体の生育や生存には、気孔の開閉だけでなく、周囲の環境条件に適合した気孔の数や密度のバランスを保つ必要がある。例えば長期間乾燥条件において生育した植物は気孔密度を低下させることで蒸散量を抑制していることが報告されている。アブシジン酸(ABA)は水分の不足を感知して速やかに気孔を閉鎖させることが知られている。ABA非感受性であるシロイヌナズナの変異体abi1-1及びabi2-1ではABAによる気孔閉鎖が見られず、野生型に比べて萎れ易い事が知られている。我々は、abi1-1、 abi2-1及びABA欠損株であるaba2-2変異体では野生型に比べて気孔密度の増加、あるいは気孔自体の大きさが増すことを見いだした。このことから、ABA非感受性及び欠損変異体が野生型に比べて蒸散量が上昇して萎れ易いのは気孔の開口度の増大だけではなく、気孔密度の上昇が影響している可能性が示唆された。また、ABAは気孔閉鎖といった短期的な蒸散量調節に加え、気孔の分化を抑制し、植物が乾燥等の環境に適応するための長期的な戦略に関わっている可能性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205632327040
  • NII論文ID
    130006993967
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0288.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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