ジャスモン酸および傷害で誘導されるシロイヌナズナ転写因子INU1はフラボノイド生合成系を負に制御する

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タイトル別名
  • Arabidopsis transcription factor INU1 induced by jasmonate and wounding negatively regulates flavonoid biosynthesis

抄録

ジャスモン酸による情報伝達経路は植物の様々なストレス応答や形態形成の過程において活性化され、ジャスモン酸応答遺伝子群の発現を介してストレス応答や形態変化を引き起こす。しかしそのような情報伝達経路の詳細は未解明である。本研究では、ジャスモン酸類および傷害に応答する遺伝子のクラスター解析を行い、発現パターンの相関性が高い遺伝子グループの中に含まれる転写因子に着目した。<br>ジャスモン酸応答性転写因子のひとつであるINU1は、ジャスモン酸類および傷害により早期に強く誘導されることから、ジャスモン酸情報伝達系の初期段階において重要な役割を担うと考えられた。INU1の傷害による発現は、ジャスモン酸生合成が欠損した変異体であるaosで顕著に抑制されることから、傷害時におけるINU1の発現誘導はジャスモン酸に依存していることがわかった。またINU1とGFPとの 融合蛋白質は核に局在することから、INU1が核で機能することが示唆された。メチルジャスモン酸処理したinu1変異体と野生株とのマイクロアレイ解析を行ったところ、inu1では野生株に対してフラボノイド生合成系の遺伝子発現が増加していた。さらにinu1のメタボローム解析によりフラボノイド類の蓄積量に変化があることも確認された。これらの結果から、INU1はフラボノイド生合成系を負に制御していると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205632328192
  • NII論文ID
    130006993968
  • DOI
    10.14841/jspp.2008.0.0291.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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