内分泌撹乱物質がオスマカクサル内分泌機能に及ぼす影響-血中ホルモン動態

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of endocrine disruptor on male macaque monkey endocrine systems −Changes in plasma concentrations of hormones

抄録

現在、不妊の原因の1つとして精子形成障害が問題となっており、内分泌撹乱物質が大きな原因であるとの示唆があるが、生体内における内分泌撹乱物質の作用については不明な点が多い。本研究では、性成熟後のオスマカクサルに内分泌撹乱物質であるジエチルスチルベストロール(DES)を投与し、各種ホルモンの血中動態および精巣の形態変化について観察した。<BR>[材料および方法]性成熟後の雄のマカクサルにDESを4日間または10日間投与し、投与前、中、後に採血を行った。得られた血液について黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、レプチンをラジオイムノアッセイ法、インヒビンBをエンザイムイムノアッセイ法にて測定した。また投与後の精巣の長径および短径を測定し、外部生殖器の形態学的変化について調べた。さらにDES投与後、精巣を4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン切片を作製した。これらの組織切片について、免疫組織学的手法を用いてインヒビンサブユニット(αおよびβB)の局在を調べた。<BR>[結果および考察]血中のLH、FSH、インヒビンB濃度に関してはDES投与前に比べて投与後に減少する傾向が観察された。一方、血中レプチン濃度はDES投与前に比べて上昇がみられた。精巣の長径と短径はDES投与前と後で変化は認められなかったが、陰嚢および包皮が水腫を形成し、精巣は腹腔へ移動した。精巣組織中のインヒビンαおよびβBの局在はそれぞれセルトリ細胞に観察されたが、これらの反応性は投与後4日目に比べ、10日目では弱い傾向がみられた。以上の結果からDESは成熟オスマカクサルの内分泌機能に影響を与えることが明らかとなった。現在、血中のテストステロン濃度および精巣組織におけるエストロゲンレセプターの局在について検討中であり、これらの結果についても本学会であわせて報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205633997056
  • NII論文ID
    130006996172
  • DOI
    10.14907/primate.20.0.118.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ