フェノールフタレイン誘導体とアルカリ金属との温度変化に伴う呈色挙動

書誌事項

タイトル別名
  • Variable Temperature Coloration Study of Phenolphthalein Derivatives with Alkali Metals

説明

当研究室で開発されたフェノールフタレイン型ホスト分子1は、ジアミン類のメチレン鎖の長さの違いを認識し呈色の強弱として応答する機能を持つ (Figure 1) 。1) この呈色は極めて温度に敏感で、高温では弱く、低温では強く発色する事が判っていた (Figure 2) 。本研究で用いるホスト1は、pH 指示薬であるフェノールフタレインとしての性質を兼ね備えているため、アルカリ金属水酸化物の塩基性で発色するのは当然である。しかし、今回我々は、温度を変化させた際のアルカリ金属水酸化物とホストの呈色挙動が、金属の種類により全く異なっているという興味深い現象を見出した。まずホスト1と NaOH あるいは KOH の MeOH 溶液について、温度可変 UV 測定を行った結果、NaOH と KOH では全く逆の呈色挙動が認められた。すなわち、NaOH では高温であるほど吸光度が減少し、逆に KOH の場合には昇温するにつれて吸光度が増大する事が判った(Figure 3, 4) 。生体内において、Na+とK+が全く逆の役割を担っている事を考え合わせると、この現象の解明は非常に重要であると考えさらに研究を進めた。その結果、Figure 5 に示すように呈色錯体と無色の錯体が存在し、この2 種の錯体の存在比が温度を変化させるのに伴い変化し、それが呈色挙動に反映している事が強く示唆された。詳細な原因については鋭意検討中である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205634501248
  • NII論文ID
    130006996865
  • DOI
    10.14895/hannou.29.0.30.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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